トイレ、どこですか?
2007/6/8
公衆厠所
2002年,香港=韓国,102分
- 監督
- フルーツ・チャン
- 脚本
- フルーツ・チャン
- ケイトー・ラム
- 撮影
- イム・ファジョン
- 音楽
- チョ・スンウ
- 出演
- 阿部力
- サム・リー
- チョ・インソン
- チャン・ヒョク
北京の公衆便所に生み捨てられたトントンは“便所神”と呼ばれ、拾ったおばあさんの孫として育てられた。そのおばあさんも今は病気で入院、トントンの友人トニーの弟サムと隣室でいつも遊んでいた。一方、釜山では海岸に住む男のところに“海の生き物”という奇妙な女性が現れる…
フルーツ・チャンが中国、韓国、香港、インドなどなど世界中をロケして作り上げた青春コメディ。
私にはまったく持ってつまらない映画だった。トイレを中心とする悪趣味な映像も汚らしいだけだし、そこに何か美しさを見出すことはできない。突然場面が変わり、話が変わり、登場人物が変わり、突拍子もない話が展開されるというのも話のまとまりをなくすだけで、その複数の話のつながりから何かが生まれるわけではない。
作り手の側には何らかの意図があったのだろう。北京の公衆便所に産み落とされたトントンには金髪のトニーと2人の外国人の友達がいる。映画の最後には不慮の死を遂げた外国人の友達に対するオマージュがあったから、この物語にはフルーツ・チャンの自伝的な要素が(公衆便所で生まれてはいないだろうが)あるのかもしれない。
しかし、だからといってこの映画の何かが面白くなるわけではない。まとまりのない断片的な話を連ねただけのたわごとはただただ退屈で、悪趣味で見るのをやめたくなってしまうくらいのものだ。特に韓国のエピソードは何のことやらさっぱりわからない。インドへ旅のエピソードはまあ見れるレベルだったのでこのエピソードをもっと膨らませればいい話になったかもしれない。香港で公衆便所の上に住み、それを管理する仕事をしているインド人一家というアイデアはなかなか秀逸だと思う。
それ以外で面白かったのは、タコが隣の水槽の蟹に襲い掛かるシーンである。ここに限っては完全なドキュメンタリーであり、本当にタコが蟹を食べようとしているシーンなのである。全体的にはドキュメンタリータッチの映像が鼻につくが、固定カメラで撮られたこのシーンにはさすがにドキュメンタリーの迫力がある。
ニューヨークのエピソードも特に必要はないし、イタリアのシーンを挟む必要もなかった。ただいたずらに制作費ばかりをかけて、肝心の中身のほうは空っぽ、こんな映画ばかり撮っているようではフルーツ・チャンも終わりだろうか。最初の頃は挑発的で面白かったのだが…