ウェルカム・バクスター
2007/12/27
Desert Blue
1998年,アメリカ,90分
- 監督
- モーガン・J・フリーマン
- 脚本
- モーガン・J・フリーマン
- 撮影
- エンリケ・シャディアック
- 音楽
- ヴィタス・ナジゼッティ
- 出演
- ケイト・ハドソン
- クリスティナ・リッチ
- ブレンダン・セクストン三世
- ケイシー・アフレック
父親に付き合って世界最大のアイスクリームコーンを見ようとバクスターという田舎町にやってきた女優志望の少女スカイ、そのバクスターには砂漠にビーチを作ろうとしているブルー、爆破マニアのイーリイ、バギーを乗り回すピートら変わった若者達がいた。通り過ぎるだけの予定だったが、ひょんなことから村に滞在することになり…
ケイト・ハドソンのデビュー作。共演もクリスティナ・リッチ、ケイシー・アフレックと豪華。
ど田舎の町に、都会からしゃれた女の子がやってきて、田舎町の若者とすったもんだになるという、ありがちな題材だが、“エンパイア・コーラ”という怪しげなコーラ会社のトラックが事故を起こしたことからその少女スカイは足止めを食ってしまい、もしかして町が汚染されているのではないかという危惧で話は少し面白い展開を見せる。さらに、スカイが町でであったブルーという青年の父親の死にまつわる謎も影を落として、サスペンスめいた展開にもなる。
まあ、ほのぼのとした町で、ほのぼのとした映画だから、そんなに深刻な事件が起こることはないと予想できるのだが、それでも謎が提示されると、物語と言うのはぐっとその魅力を増す。町の汚染と父親の死の謎、この2つの謎に支えられてこの映画は面白くなる。
ただ、この映画の眼目は町の変わった住人達だ。砂漠の中にビーチリゾートを作ることを夢見るブルー、爆弾を作るのが得意で始終何かを爆発させているイーリイ、バギーを乗り回すピートなど5人の若者達、彼らの行動がかなり変わっていて笑える。しかも町の住人はほとんどこの5人の家族、本当に住人が少ない町らしい。
中でも面白いのは、クリスティナ・リッチが演じたイーリイだ。町の保安官の娘なのに、爆弾マニアで、内緒で材料を買って次々と爆弾を作る。ブルーのビーチのカヌーを爆破するだけならいいが、この彼女の爆破技術が後々物語の鍵になってくる。この映画は一応ケイト・ハドソンが主演ということになっているが、一番魅力的なのはクリスティナ・リッチだ。これがデビュー作のケイト・ハドソンとは違って、子役から経験十分のクリスティナ・リッチは演技も板についているし、変わった少女という役柄を演じさせたらこの頃のクリスティナ・リッチにかなう十代の役者はいなかったろうと思う。
クリスティナ・リッチはこの作品と同時期に『200本のたばこ』(ここでもケイト・ハドソン、ケイシー・アフレックと共演している)、『バッファロー'66』、『I love ペッカー』などに出演している。最近は年齢にそぐわぬ童顔が災いしてか今ひとつ作品に恵まれていない気がするけれど、弧役のイメージが払拭できれば、演技派の女優としてしっかりと復活するのではないかと思う。
こういうティーンズの映画を公開されてから10年という時間が過ぎてから見ると、現在の姿と比べて(ゴシップも含めて)いろいろと考えてしまう。この作品で主役の一人を演じたブレンダン・セクストン三世は『I love ペッカー』でクリスティナ・リッチと共演していたが、今はまったく姿を見なくなってしまった。いったい何をしているのだろうか。
この作品は、いわゆるティーンズ映画と同様に、恋愛が物語の中心になっている。しかし、その恋愛の部分ははっきりいってまったくどうでもいい。まったくどうでもいい物語なのだが、それ以外の部分が面白いのでそれなりに見れる作品になっているのだろう。
なんとなく気持ちが軽くなるような作品を見たいという時にはピタリと来る作品だろう。あまり真面目に期待してみると拍子抜けしてしまう。