ル・ディボース/パリに恋して
2008/1/4
Le Divorce
2003年,アメリカ=フランス,118分
- 監督
- ジェームズ・アイヴォリー
- 原作
- ダイアン・ジョンソン
- 脚本
- ルース・プラワー・ジャブヴァーラ
- ジェームズ・アイヴォリー
- 撮影
- ピエール・ロム
- 音楽
- リチャード・ロビンズ
- 出演
- ケイト・ハドソン
- ナオミ・ワッツ
- ジャン=マルク・バール
- レスリー・キャロン
- グレン・クローズ
- ロマン・デュリス
フランス人と結婚した姉ロクサーヌに会うためにパリへとやってきたイザベル、しかしついたその日に姉の夫シャルル・アンリは家を出てしまう。イザベルはパリに滞在することにし、姉に仕事も紹介してもらい、恋人もできるが…
ケイト・ハドソンとナオミ・ワッツが競演し、ジェームズ・アイヴォリーが監督と役者はそろったが、出来は…
ロマンティック・コメディだろうと予想してみたのだが、監督が『モーリス』などのジェームズ・アイヴォリーとあって、そんな気楽なものではなかった。物語のほうは姉の住むフランスを訪れたアメリカ娘がパリ生活を満喫し、姉の夫の親戚とアバンチュールを楽しんだりという話と、姉の離婚に絡んで一家の財産である大変な価値があるかもしれない絵画をめぐってすったもんだがあったりという感じのもの。この物語のほうの難点は、いろいろなことが散漫におきてまとまりがないということだ。
物語としてはナオミ・ワッツ演じるロクサーヌの離婚とそれにまつわる二つの家族の関係が中心なのだと思うが、語りの中心はケイト・ハドソン演じるイザベルであり、彼女のどうでもいいアヴァンチュールが作品のかなりの割合を占めてしまっている。
つまるところこの作品は、アメリカ人がフランス人をバカにしようとして、結局バカにしきれず中途半端になってしまったという作品なのではないか。イザベルはパリにあこがれる上流階級のバカな娘でついてすぐに恋人が出来、年上の有名人とも情事を楽しみ、彼女が思うところのパリっぽさを満喫したわけだけれど、そこで語られる思わせぶりな言葉には何の内容もない。この作品はそこにフランス人が格好つけているだけで何もないということを言おうとしているのだろうけれど、そういうことを言っているこの作品自体も代わりの内容を提示せず、単なるご都合主義に終わってしまっているので、「だからなんなんだ」というまったく腹立たしい感想しか残らない。
思わせぶりに展開される絵画のシークエンスについても、フランス人は偉そうにしているけれど実際絵画の価値なんてわからないなんてことになっているけれど、結局この絵が本物かどうかは明らかではなく、絵の価値というのが市場原理によって決まるということを言っているに過ぎない。これまただから何なんだとしかいいようのない展開だ。