秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE II ~私を愛した黒烏龍茶~
2008/5/22
2008年,日本,90分
- 監督
- FROGMAN
- 脚本
- FROGMAN
- 音楽
- manzo
- 出演
- FROGMAN
前作の反省を生かしてオープニングの予算を削減した鷹の爪団。その予算でスーパー戦闘ロボを製作するが、吉田君の聞き違いで出来上がったのはスーパー“銭湯”ロボ。これではDXファイターに太刀打ちできるわけもなく、いつものようにDXボンバーでやられてしまう。そんな時、DXファイターのブログが何者かにあらされ、鷹の爪団もネットに入るマシーンで世界制服を果たそうと考える…
前作がまさかの大ヒット、ニューヨーク国際インディペンデント映画祭でアニメーション部門最優秀作品賞と最優秀監督賞を受賞してしまった「鷹の爪団」の続編。サブタイトルネーミングライツを売るなどして予算アップ、下らなさもアップ、これは映画の革命、かもしれない。
前作で映画の予算の残りがわかる“バジェットメーター”なる画期的なシステムを導入した『秘密結社 鷹の爪 The Movie』、今回もバジェットメーターをさらにパワーアップして導入、映画の中に細かく広告を入れることでメーターが上下する。オープニングは前作で豪華なCGを使ってしまい、予算の半分を使ってしまった反省を生かして、予算を削減。本編が始まると総統がいきなり突っ込みを入れ爆笑。その削減した予算を使って製作した「書き込みの細かい」スーパー戦闘ロボが実は葬儀屋よりも丁寧なスーパー“銭湯”ロボと判明してしまう。
ここまでですでに下らなさ満載で、バカバカしさに笑ってしまい、すっかりその世界にはまってしまうわけだけれど、そのペースはまったく減速することなく、たくさん(なんと24社)のプロダクトプレイスメントを織り交ぜて、それに吉田君が「毎度ありがとうございます」などといいながら、どんどん話は進んでいく。完全2次元のマンガなのに、それが広告によって現実社会とつながっているというのもまた面白い。バジェットゲージが上がったら、そこには企業広告が。一部は結構見つかりにくい形で広告されていたりもするので、それを見つけるのもちょっと楽しかったりする。見つけにくいというのは広告を出す企業のほうからすると不利なことなわけだが、そんな細かいことは笑い飛ばしてしまうのが、この鷹の爪の世界であるのだ。
そして、この作品は下らない中でもどこかに社会に対する視線というものを持っている。企業買収という題材もそうだし、ネットという小道具もそうだし、別に社会派というわけではないのだけれど、人間は日々生きている中で下らないことも考えていれば、真面目なことも考えている、そんな人間の頭の中をそのまま形にしたような、そんな形で社会というものが入ってくる。もちろん下らなさが圧倒的に勝っているけれど、それはそれですむ世の中の平和さを象徴しているわけで、それはそれでいいのだと思う。
いま社会派の映画がやたらと多いのは、人々が社会のことを考えざるを得なくなっているからで、この映画はそれに対し「社会のことを考えるからって必ずしもくそまじめにやらなくてもいいんじゃないの」と静かに反旗を翻している。だからこの映画が面白いというわけではないけれど、そんな風に社会とつながっているというところがただのバカ映画とは違っているところで、インディペンデント映画祭で最優秀作品賞に輝いてしまったりもする理由なのだと思う。
なんて書いたけれど、まあとにかく笑え! そしてはまれ! さんまを鼻にさすと「なまぐさいたい」ぞ!