宇宙大怪獣ギララ
2008/8/14
1967年,日本,88分
- 監督
- 二本松嘉瑞
- 脚本
- 元持榮美
- 石田守良
- 二本松嘉瑞
- 撮影
- 平瀬静雄
- 音楽
- いずみたく
- 出演
- 和崎俊也
- ペギー・ニール
- 原田糸子
- 柳沢真一
- 岡田英次
- 園井啓介
火星の探査のため地球を飛び立ったアストロボートは途中でUFOに遭遇し月基地に緊急着陸、再び火星を目指すがまたUFOに遭遇する。その直後宇宙船に謎の発光体が付着していることを発見し、それを採取して地球へと帰る。しかし、その発光体は巨大怪獣へと変わったのだった!
松竹が怪獣映画ブームに乗っかって製作した初の怪獣映画、怪獣の名前“ギララ”は公募で決められた。倍賞千恵子が歌う主題歌が耳に残る。
この映画はなんだか変だ。まず、怪獣映画であるはずなのに、怪獣が登場するまでが妙に長い。火星探査に出かける宇宙船がUFOに遭遇し、月基地に緊急着陸、月基地での様子が細かく描かれ、乗組員がひとり交代して再び火星に向かうが、またしてもUFOに出会い、謎の発光体を採取する。まあこれが怪獣の卵なんだろうなぁという想像がついたところで地球へと戻るが、まだ怪獣は現れない。
この長い前置きの間には、宇宙船の船長である佐野をめぐってリーザと道子というふたりの女性の間で恋の駆け引きのようなものがあったりもするし、月基地の場面では月で出来た果物の話やら、水の話やらがあって、檜風呂に入ったりする。さすがに月に檜は生えていないだろうから、これはおかしいと当時の子供でも思ったに違いないのだが、そんなムダともいえるシーンがいくつもはさまれているのだ。
そして肝心の怪獣ギララだが、このギララはとにかく破壊しまくり、しかもその目的がよくわからない。エネルギー源を求めて日本中を移動しているということだが、それなら近くからしらみつぶしに行けばいいのに、なぜだか意味もなく破壊を続けながら大きく移動する。
この目的のない怪獣は、どうにも怪獣映画が流行っているから作っただけという松竹の姿勢を如実に表しているようでどうにも入り込めない。パニック映画のはずなのにまったく緊張感がないのだ。
そしてラストは恋愛でしめる。このあたりはハリウッド映画を意識したのだろうけれど、後半は怪獣映画一辺倒だっただけに唐突さは否めない。リーザは「ギララに教えてもらったの」などというセリフを吐いて、無理やりに恋愛とギララとを結び付けようとするが、いったい何を教えてもらったのか見ている側にはちっともわからない。
当然のごとく続編は作られず、松竹は怪獣映画自体を二度と作らなかった。2008年になって『日本以外全部沈没』の河崎実が続編となる『ギララの逆襲 洞爺湖サミット危機一発』のも、この作品のなんともいえない失敗感が彼のマニア心をくすぐったのだろう。
ただ、なんだかかわいいギララのビジュアルと、倍賞千恵子が歌う主題歌は強く印象に残ってしまった。