東京ジョー
2008/8/16
Tokyo Joe
1949年,アメリカ,88分
- 監督
- スチュアート・ヘイスラー
- 原案
- スティーヴ・フィッシャー
- 脚本
- バートラム・ミルハウザー
- シリル・ヒューム
- 撮影
- チャールズ・ロートン・Jr
- 音楽
- ジョージ・アンセイル
- 出演
- ハンフリー・ボガート
- 早川雪洲
- アレクサンダー・ノックス
- フローレンス・マーリー
- テル・シマダ
1949年の東京にアメリカからやってきた男ジョー、彼は戦前、銀座で東京ジョーというレストランを経営していた。かつての相棒に会ったジョーは妻が生きていると聞き会いに行くが、すでに別の男の妻に。その妻を取り戻すための時間稼ぎにキムラ男爵の怪しげな商売を手伝うことにするが…
ボギーが東京ロケを行ったアクション映画。日本の描写はかなり怪しげだが、全体としてはまあまあか。
よく考えてみると、話はまっとうなアクション映画だし、ハンフリー・ボガートらしい役でもある。というのも、ハンフリー・ボガート演じるジョーは、アウトローだけれど優秀で女ったらし。仕方なく軍隊に行ったがそこで活躍し、戦後はあっさりとやめて東京にやってくる。東京を「自分の町」というジョーは日本人の旧友イトウに変わらぬ態度を示し、日本人を下等民族として扱うほかのアメリカ人とは一線を画すのだ。
しかし、そのジョーを利用しようという日本人も出てきて、死んだと思っていた妻が別の男と結婚してしまっていたこともあるなど、ジョーは窮地に陥る。しかし、ボギーは窮地に陥ってこそ、そこから知恵を使っていかに脱出するかというのが見所ということになる。
その肝心の展開の部分は傑作とはいわないまでも及第点、アクションシーンは画面が暗くてよく見えないのが残念だが、悪役に徹した早川雪洲を打ち負かすところでは、日本人でもそれなりのカタルシスを感じることができるくらいに、ハンフリー・ボガートは格好いい。
もちろん、ハンフリー・ボガートにはもっと面白い作品がたくさんある。でもまあハンフリー・ボガートが好きなら、これも見ていいかなという感じだ。
ただ、日本についての描写にはかなり首をかしげる。ジョーが捨てたタバコに人が群がるところなんていうのは、アメリカ人から見た当時の日本を表しているという意味で興味深くはあるのだけれど、女中からなにから登場する和服の女性がみんな振袖姿だったりするのには、どうにも首を傾げてしまう。
まさに、誤ったステレオタイプの日本のイメージという感じ。わざわざ日本でロケしたのに、これはちょっとと思ってしまう。日系人の役者の片言の日本語も違和感がありすぎる。でもまあ、完全にアメリカのセットで撮った日本の風景よりは不自然さが少ないことは確かだし、敗戦直後の日本の風景が映っているというのが興味深いことも確かだ。
また、ハンフリー・ボガートは早川雪洲にあこがれていて、戦時中ヨーロッパに渡り、戦後もそこから身動きが取れなくなっていた彼をこの映画に出演させるためにハリウッドに呼んで、彼を救ったのだという。これまたハンフリー・ボガートを引き立てるエピソード。やはりこの映画はハンフリー・ボガートひとりのための映画か。