イタリア的、恋愛マニュアル
2008/9/19
Manuale D'Amore
2005年,イタリア,118分
- 監督
- ジョヴァンニ・ヴェロネージ
- 脚本
- ジョヴァンニ・ヴェロネージ
- ウーゴ・キティ
- 撮影
- ターニ・カネヴァリ
- 音楽
- パオロ・ブォンヴィーノ
- 出演
- シルヴィオ・ムッチーノ
- ジャスミン・トリンカ
- マルゲリータ・ブイ
- セルジオ・ルビーニ
- ディーノ・アッブレージャ
- ルチャーナ・リッティツェット
- アニタ・カプリオーリ
失業中のトンマーゾが偶然であったジュリアに一目惚れ、ストーカーまがいに彼女に迫る『めぐり逢って』、倦怠期の夫婦の危機を描いた『すれ違って』など4組のカップルの恋愛模様を描いたオムニバスラブ・コメディ。
監督は『踊れトスカーナ!』などの脚本家として知られるジョヴァンニ・ヴェロネージ。
よくある恋愛オムニバス・コメディといえばその通りだが、そこはイタリアらしく、深刻な問題でも明るさが常にある。
第1章は『めぐり逢って』で、これは単純に失業中の若者が一目惚れをして、強引に迫るという話。特に変わったところもなく非常にオーソドックスで安心してみていられるという感じだが、特に面白いというわけでもない。
第2章は『すれ違って』で、倦怠期の夫婦の危機を描いた話。妻のほうは以前の関係を取り戻すべくいろいろと提案するが、夫のほうはいろいろな理由でなかなか問題に正面から向き合えない。しかし問題を共有してはいて、救いがないわけではないという印象を与える。これもよくある話ではあるが、夫婦の関係がなかなかうまく描かれていて好印象。
第3章は『よそ見して』。婦人警官の妻が夫の浮気現場を目撃してしまうという話。またまたさもあり何という話だが、このエピソードは勢いもあり、なんと言っても婦人警官オルネッラのキャラクターがたっていて面白かった。夫に浮気された腹いせでやたらと厳しく取り締まりまくるくだりなんてのはコメディ映画らしい明るさに満ちていていい。
結局、この映画はこの第3章に収斂しているという気もする。情熱的な恋愛と、平穏な夫婦関係、男も女も常にその間で揺れ動き、それは時には幸福を生み、時には悲劇を生み、時には喜劇を生む。「マニュアル」といいながら決してマニュアルどおりにはいかない男女の関係を喜劇として描いたのがこの作品なのだろう。
第4章は『棄てられて』で、妻が不意に出て行ってしまった小児科医のゴッフレードが妻への想いを断ち切れないまま立ち直ろうと努力するという話。こちらは中年男の悲哀がうまく描かれているという印象。他の3章と比べると異色な感じだが、最後にはうまくまとまる。
『イタリア的、恋愛マニュアル』なんていういかにもつまらなそうな題名の割にはなかなか面白かった。ハリウッドのラブコメはもう本当にワンパターンで予告編を見ただけでスミから隅まで予想できてしまうが、これはイタリア映画ということでちょっと意外性があってよかった。
ヨーロッパ映画もどんどんハリウッド化しているわけだが、この作品なんかはヨーロッパっぽさとハリウッドっぽさの中庸にある感じでなかなかいいバランスなのだろう。レンタルで借りるには最適という作品。