ナイト ミュージアム
2008/11/10
Night at the Museum
2006年,アメリカ,108分
- 監督
- ショーン・レヴィ
- 原作
- ミラン・トレンク
- 脚本
- ロバート・ベン・ガラント
- トーマス・レノン
- 撮影
- ギレルモ・ナヴァロ
- 音楽
- アラン・シルヴェストリ
- 出演
- ベン・スティラー
- カーラ・グギーノ
- ディック・ヴァン・ダイク
- ミッキー・ルーニー
- ロビン・ウィリアムズ
- ポール・ラッド
- オーウェン・ウィルソン
バツイチで失業中のラリーは息子にも愛想をつかされて職探しを始める。運良く自然史博物館の夜警の仕事を見つけるが、引退する老警備員から引き継いだ初日、見回りを始めるとティラノザウルスの骨格が動き出し、他の展示品も次々と動き始めるのだ…
ベン・スティラー主演のファンタジー・コメディ。監督は『12人のパパ』などのショーン・レヴィ
どうせしょうもないハリウッド映画だろうと思って見始めたが、これが以外に見れる作品だった。映画としては典型的なハリウッド映画で、その枠からはみ出ることは決してないし、博物館の展示物が動き出すという発想もまったく斬新なものとはいえない。しかし、その枠の中でベン・スティラーは縦横無尽に動き回り、展示物の間にもさまざまなドラマが用意されていて飽きることはない。
大爆笑のギャグがあったり、涙を流すほどの感動があったりはしない。しかし、ついついニヤニヤしてしまったり、ちょっとしんみりしてしまったり、切なくなってしまったりという小さな感情の波をところどころで生み出したりする。ベン・スティラーが猿のデクスターと何故かびんたをしあう場面とか、何故かクレジットされていないちっちゃいオーウェン・ウィルソンが活躍する場面とか、ロビン・ウィリアムス演じるテディ・ルーズベルトにアクシデントが襲う場面とか、いい場面が結構あるのだ。
この作品の監督ショーン・レヴィはこのところコメディ畑でちょこちょこ名を聞くようになってきた監督だ。元はあまり売れない役者で、監督としては2003年の『12人のパパ』や『ジャスト・マリッジ』あたりで名が売れた。そこでベン・スティラーの主演作をということになったのだろう。
いつもは製作にも参加するベン・スティラーは今回は参加せず、『ホーム・アロン』などで知られるクリス・コロンバスが製作に参加している。クリス・コロンバスは『ハリー・ポッター』シリーズの監督も他に譲り、監督よりもプロデュース業に精を出している感がある。
そのふたりとあいも変わらずバカバカしいコメディ映画に出続けるベン・スティラーが組んでファミリー向けのなかなかいいコメディが出来上がったというわけだ。ベン・スティラーは下ネタ満載の心底下らない映画にも出るが、ファミリー向けやヒューマン・コメディもこなす器用な役者だ。
子供向けというよりはファミリー向けのこのコメディ映画は、子供が見ても、大人が見ても楽しめるなかなかの作品。歴史の勉強になるとは言わないが、子供が見れば歴史に対する興味がわくことはあるかもしれない。日本で言えば国立科学博物館でこんなことが起こったら、ハチ公の剥製が渋谷駅に行ってしまったりして面白いことになるかもしれない。上野のパンダも復活するし…
剥製や蝋人形だけの博物館というのはどうも退屈という気がするが、「もし息を吹き返したら」と想像してみたら存外面白いのかもしれない。歴史に息を吹き込むのは見るものの想像力なんだと最後はちょっと真面目に考えて見たりもした。
映画マニアにはミッキー・ルーニーの元気な姿を見られるというのも嬉しいかも。