最高の人生の見つけ方
2008/11/11
The Bucket List
2007年,アメリカ,97分
- 監督
- ロブ・ライナー
- 脚本
- ジャスティン・ザッカム
- 撮影
- ジョン・シュワルツマン
- 音楽
- マーク・シェイマン
- 出演
- ジャック・ニコルソン
- モーガン・フリーマン
- ショーン・ヘイズ
- ビヴァリー・トッド
- ロブ・モロー
修理工のカーターはガンで入院、その病室にその病院の経営者エドワードが入ってくる。最初はエドワードの傲慢さに辟易するカーターだったが、ふたりは徐々に打ち解けるが、ふたりは相次いで余命わずかだと宣告される。カーターが書きかけて捨てた“棺おけリスト”(死ぬまでにやりたいことのリスト)を見つけたエドワードはふたりでそれを実現しようとカーターに提案する。
ロブ・ライナー監督でジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマン主演というベテラン達によるハートフル・コメディ。
いわずと知れた名優のジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマン、年をとっても悪の強さは変わらないジャック・ニコルソンと常にすべてを見通しているような聡明さを感じさせるモーガン・フリーマンこのふたりがわがままな大富豪と、博識の修理工を演じ、残りわずかな人生でやりたいことをやるという話。
話のほうはまあスタンダードなものだ。最悪の出会い、徐々に理解しあい友人となり、新たな喜びを見出す。そしてふたりで旅に出ようということになるのだが、モーガン・フリーマン演じるカーターの妻バージニアは彼を「逃げている」といって批判し、ジャック・ニコルソン演じるエドワードに「夫を返して」と迫る。
ここに潜むのは、人生の残りがわずかだとわかったとき、人は誰のために生きるのかということだ。残りわずかなのだから自分のために生きて、何をしてもかまわないと考えるのか、それとも自分の周りの人たちのために出来るだけこれまでと変わらず過ごすのかということだ。
この映画でやられているようなことは大金持ちしか出来ないわけだが、誰しもが考える人生の最後に何をやるかという問題を極端な例としてあらわしただけだ。カーターは人生の最期に直面して自分の人生を振り返り「ぽかりと穴が開いた感じがする」と告白する。だからやれなかったことをやってやろうと考えるのだ。しかし、実は彼はわかっている。彼が本当にやるべきなのは自分の人生に大きな割合を占める妻との関係にあるべき結末をつけるべきだということを。そして彼がエドワードと出会うことによって最後の時間を妻と別れて過ごしたのは遠回りではあるが、その結末に至るために正しい道であったのだ。そして同じことがエドワードと娘との関係にも言える。
ロブ・ライナーはそのようなメッセージをうまく作品の中に織り込み、納得できるも物語にまとめている。重要なのは、ふたりが互いに本当に重要なことを気づかせてくれる存在になれたということなのだ。
そして、そのようなシリアスなメッセージをストレートに伝えるのではなく、笑いに包んで伝える。そのやり方も実にうまい。冒頭の映像とモーガン・フリーマンのナレーションの使い方、バケット・リストの使い方、二人が帰ってきたときのシーンの対照の仕方など、なるほどとうならせる演出が効いている。
傑作ではないし、おそらくそれほど記憶に残る作品でもないけれど、見てよかったと思わせてくれる作品だ。