ハリー・ポッターと炎のゴブレット
2009/1/18
Harry Potter and The Goblet of Fire
2005年,アメリカ,157分
- 監督
- マイク・ニューウェル
- 原作
- J・K・ローリング
- 脚本
- スティーヴ・クローヴス
- 撮影
- ロジャー・プラット
- 音楽
- パトリック・ドイル
- 出演
- ダニエル・ラドクリフ
- ルパート・グリント
- エマ・ワトソン
- スターニスラフ・イワネフスキー
- ケイティ・ルング
- ロバート・パティンソン
ハリーたちの魔法学校の4年生の一年が始まった。その年は三大魔法学校の対抗試合がホグワーツで行われることになった。出場には17歳以上という制限がつき、ハリーたちは参加できないことになったが、発表の日、出場者を決める“炎のゴブレット”からハリーの名が飛び出した…
「ハリー・ポッター」シリーズの第4作。監督は『フォー・ウェディング』のイギリス人監督マイク・ニューウェルに交代。
「ハリー・ポッター」シリーズは作品と作品の間も結構空いている割には前作との関係が意外と深く、いきなり途中から見ても何がなんだかわからないようなシリーズものだ。この作品も第1作から見ていないとわけがわからないだろうし、時間があいてしまってから見ると登場人物について思い出すのに少々時間がかかる。
まあしかし、これだけヒットしているシリーズだから、それでもいいのだろう。見ている人は1から見ているし見ていない人は途中から見ようとはなかなかしない。
しかし、1作ごとに1歳年を取ってゆくハリーに対して製作が毎年ではないために出演者たちはどんどん先んじて年を取っていってしまう。この作品の段階ですでにロンなんかは14歳という設定に無理を感じる。これじゃあこれから先はどうなってしまうのかと心配にもなってしまう。
ヒットシリーズであるためにそんなさまざまな雑音が聞こえてきてしまうことでどうしても作品自体を楽しみにすることができなくなってしまうのはちょっと哀しい。
まあ、そのようなことはなるべく考えないようにして作品を見てみると、「よくなってきた」という印象だ。これまでの3作はどうしても主人公が子供で子供向けという印象が強かったのだけれど、ハリーたちも徐々に大人になり、さらに今回はハリーと争う脇役たちが立派な青年であることでより大人っぽい印象を与える。
さらに、エピソードや映像も子供には怖すぎるんじゃないかというものが多く使われている。子供には受けが悪いかもしれないが、大人としてはこのおどろおどろしさが“魔術の世界”という設定にあっていると感じられていい。“魔法”というとファンタジーの世界で子供向けという感じがするけれど、“魔術”というとどこかオカルトに通じるきな臭さがあって大人の感じだ。この第4作はその“魔術”の世界に一歩踏み入れたという感じがする。監督がイギリス人になったというのも暗い雰囲気を生み出す一助にもなったのかも知れない。
ただ、登場人物がどんどん増えてくることで名前を言われただけではそれが誰をさすのか容易にはわからなくなってしまってもいる。ただでさえ長い原作を2時間半という短い時間に収めようとしているので、そのあたりが整理されないと物語りについていけなくなってしまって、この長さに耐えられなくなってしまう。原作を尊重することも重要だが、1本の映画としてすっきりと見られるように余分なところをそぎ落としていくことも必要なんじゃないかと思ったりした。
しかし、総じて見ると悪い作品ではないし、次も見ようかなという気にさせる。シリーズすべて未見という方はぜひ1から順にどうぞ。