エル・コルテス
2009/2/26
El Cortez
2006年,アメリカ,90分
- 監督
- スティーヴン・パーヴィス
- 脚本
- クリス・ハドック
- 撮影
- ロバート・F・スミス
- 音楽
- ジョージ・ドーリング
- ジョー・エレン・ドーリング
- 出演
- ルー・ダイアモンド・フィリップス
- ブルース・ウェイツ
- グレン・プラマー
- トレイシー・ミッデンドーフ
- ジェームズ・マクダニエル
人生をやり直そうとホテル“エル・コルテス”で働くことになったマニーは車椅子の男性に気に入られ、一緒に彼の金鉱を経営しないかと誘われる。一方、ホテルに滞在することになったチンピラのジャックの愛人シーダがマニーに色目を使ったと言ってジャックはマニーを脅す…
ルー・ダイアモンド・フィリップス主演のクライム・サスペンス。B級映画ファンにはオススメ。
暗い過去があるらしいホテルマンのマニーがそのホテルに滞在する車椅子の男ポップコーンに声をかけられる。彼は金鉱を発見し、その採掘を始めるための出資者を探しているという。マニーはその片棒を担がされるが、ポップコーンに気に入られ正式にパートナーにならないかといわれる。
一方、ホテルに滞在することになったチンピラのジャック・クレイはマニーと知り合いらしいアーニー(マフィアか警察かという感じの男)に目をつけられているが、ジャックの愛人シーダはマニーに気があるようだ。しかしマニーはジャックに脅され、マーにーにも警告されて彼女には近寄らない。
最終的にポップコーンの金鉱を巡るそれぞれの登場人物の目論見が絡み合い、サスペンスドラマの様相を呈してきて、それなりに面白くはなるのだけれど、どうも意外性がない。どんでん返しも用意され、驚きを作り出そうという意図は見えるのだけれど、それもB級映画の文法にあくまでも沿った感じで、驚くというよりは納得する展開だ。
終わってみればそれなりの満足感はあり、つまらないとは思わない。でもせいぜいレンタルビデオかCS放送で見ればよい作品という感じで劇場公開されなかったのは妥当というところだろう。ルー・ダイアモンド・フィリップスはなんだかこんなB級のアクション映画にたくさん出ている。彼自身はフィリピン出身だが、ネイティヴ・アメリカンにもヒスパニック系にも見えるその風貌が重宝がられているのかもしれない。
ところでこの映画でなかなか面白かったのはホテルで働くマニーがモーテルに住んでいるというところだ。アメリカ人はホテルやモーテルに住んでいる人が多いが、モーテルからホテルに通うというのはなかなか不思議な感じがする。しかも彼のモーテルの部屋というのが殺風景でまったく生活感がない。この映画の舞台はラス・ベガスに次ぐカジノの街リノだが、砂漠に建てられた人口の街の無機質さがそこに働いている人々の生活にも漂っているという感じがする。
アメリカでこんなにもいろいろな犯罪が映画にも実際にも存在する背景にはそんな無機質な社会があるんじゃないかと考えて見たりした。