スーパーバッド 童貞ウォーズ
バカな高校生が主役のバカなコメディ。出てくる大人もバカなのが最高
2009/5/1
Superbad
2007年,アメリカ,113分
- 監督
- グレッグ・モットーラ
- 脚本
- セス・ローゲン
- エヴァン・ゴールドバーグ
- 撮影
- ラス・オルソーブルック
- 音楽
- ライル・ワークマン
- 出演
- ジョナ・ヒル
- マイケル・セラ
- クリストファー・ミンツ=プラッセ
- ビル・ヘイダー
- セス・ローゲン
- マーサ・マックアイサック
- エマ・ストーン
もてない高校生のセスと親友のエバンとフォーゲルは高校卒業前に童貞からも卒業したいと思っているがその予定はない。そんなある日、セスが憧れのジュールズにパーティーに誘われる。セスはフォーゲルのニセIDで酒を買って行くとジュールに虚勢を張って見せるのだが…
ジャド・アパトー・ファミリーお得意のおバカコメディ。セス・ローゲンとエヴァン・ゴールドバーグの脚本がさえる。
まず下ネタがOKの人ではないとこの作品は厳しい。それほど下品というわけではないが、そこここに下ネタがちりばめられている。まあ主人公が3人の童貞の高校生というところですでに下ネタ満載になるのは目に見えているが、ある意味では期待通りということか。
まあしかし下ネタを受け容れられるならこの作品は面白い。セックスのことしか頭にないバカな高校生が巻き起こす珍騒動、それはお馬鹿なコメディでありながらまっとうな青春映画でもある。自分が憧れの“女子”と“やる”ことを真っ先に考えるが、同性の親友もまた大事。でもそのことを面と向かっていうのは恥ずかしいし、親友だからこそわかってくれると思って言うべきことも言わなかったりする。そんな青春の甘酸っぱさが作品全体に漂っている。
主人公のふたりの名前がセスとエバンとなっているところからしてこのシナリオには脚本家であるセス・ローゲンとエヴァン・ゴールドバーグの青春の思い出が投影されているのだろうと想像できる。
それだけではただのバカな高校生の青春の一ページを描いたコメディなのだが、この作品はそこにおかしな二人の警官が加わる。セス・ローゲンとビル・ヘイダーが演じるその警官はまったく仕事をする気持ちなどなく、ニセIDでマクラビンと名乗るフォーゲルをつれてあちこちを遊びまわる。まあ遊びまわると言ってもパトカーを運転しながら酒を飲んだりするだけだが、その悪乗り振りがなんともおかしい。
セス、エバン、フォーゲルの3人が親友でそのうちのふたりセスとエバンが主人公という形になっているが、3人目の主役フォーゲル(=マクラビン)とふたりのおかしな警官のエピソードがこの作品にアクセントを加え、まさにアパトー・ファミリーらしいバカバカしさを加えている。この部分はアメリカでも相当受けたらしく、“マクラビン”という言葉が流行ったという話も。本当にバカバカしく細かいところにこだわるのがらしくて面白いところだ。
爆発的にバカな大人になる直前の若者を見守るこれまたバカな大人、大人には厳しい現実が待っているのかもしれないけれど、若者たちはこんなバカ騒ぎを通してでも成長して何かをつかむ。こんなバカな映画からそんな教訓じみたことを読み取るというのも何かと思うが、しっかりと青春映画している結末からはそんなことが感じられる。
ただただバカで下品なコメディも観ているときはまあ面白いけれど、そのバカさの背後にしっかりとした背景があるこんな作品のほうが記憶に残る。やっぱりセス・ローゲンは只者ではないのだ。