5フィンガーズ
2009/6/1
Five Fingers
2006年,アメリカ,87分
- 監督
- ローレンス・マルキン
- 脚本
- ローレンス・マルキン
- チャド・シューマン
- 撮影
- アレクサンダー・グラジンスキー
- 出演
- ローレンス・フィッシュバーン
- ライアン・フィリップ
- コルム・ミーニイ
- トゥリア・ハーウト
オランダ人のマルティンは貧しい子供たちのための食糧支援プログラムのためガイドのギャバンとともにモロッコへ向かう。しかし、空港から乗ったバスで何ものかに拉致され、ギャバンは殺され、マルティンはモロッコに来た本当の目的を吐くよう拷問されるが、マルティンには身に覚えがない…
テロ組織に囚われた青年を描いた密室社会派サスペンス。最後まで謎を残した展開で楽しめる。
人道支援のためにモロッコに行ったはずが突然テロ組織に拉致され、椅子に縛り付けられ、同行のガイドは殺され、拷問を受ける。彼らが欲しがっている情報は何なのか、それもわからないままピアニストである彼の命ともいえる指を彼らは一本ずつ切り落としてゆく。
しかし、そんな拷問に値を上げない彼らをテロリストたちは疑い続け、観客にも彼が何かを隠していると感じさせる。テロリストは彼がCIAではないかと疑うが、マルティンのほうはCIAであることを頭から否定する。一体何が真実なのか…
この騙しあいは面白く、最後までそこそこ意外な展開が望めるので飽きることはない。しかし、本当にそれだけなのが少し物足りない。事件の真相に迫る過去の出来事が回想シーンというかたちで小出しにされるというのもいかにも出し惜しみな感じがする。
拷問もいきなり指を切ってしまうので、その後の迫力に欠けてしまう。2本切られるのと3本きられることの違いは切られないのと1本切られることの違いと比べるとあまりに小さい。それならば、まず足の指を切って本気だということを納得させてから、指を切るぞ切るぞと圧力をかけたほうがマルティンの恐怖をあおることにつながるのではないか?
そんな理由もあって入り込むほどのスリルは感じられなかったのが残念。
ただ、この結末(ネタばれになるので一応隠しておきます)はなかなか気が利いている。ブラックというか皮肉というか、本当にあるかどうかはわからないけれど、あってはおかしくはないと思わせる展開で、ある意味で社会派。見てないと何のことやらわからないと思いますが、ハリウッド映画らしい予定調和とはちょっと違うところが魅力だということです。陰謀ものが好きな方にはオススメ。
もうちょっとプロットが入り組んでいて、映像に迫力があれば結構面白い映画になったと思うが、予算不足か力量不足かで並の出来となってしまったという感じ。