アース
2009/7/14
Earth
2007年,ドイツ=イギリス,96分
- 監督
- アラステア・フォザーギル
- 脚本
- デヴィッド・アッテンボロー
- アラステア・フォザーギル
- マーク・リンフィールド
- 音楽
- ジョージ・フェントン
- 出演
- パトリック・スチュワート
生命が息づく“奇跡の惑星”地球、その地球を北極から南極まで旅し、自然の驚異と素晴らしさを映像に刻んだドキュメンタリー。日本でもNHKが放送したBCCのドキュメンタリー「プラネット・アース」の素材を再構成し、劇場用に再編集した作品。
脚本に名を連ねるデヴィッド・アッテンボローは『ガンジー』の監督リチャード・アッテンボローの弟で有名な動物学者。
50億年前の小惑星の衝突がもたらした地軸の傾き、これが地球の各地に季節をもたらしたということがこの映像詩の縦糸となる物語である。
北極では太陽の昇らない長い冬が終わり、ホッキョクグマの親子が外の世界に這い出す。食料をとるためには氷の張った海まで行かなければならないが、早くもその氷は解けつつある。そして温暖化によってその氷の解ける速度は早まっている。
ツンドラ。永久凍土に木は生えない。しかし芽生えた草を求めて小動物が集まり、その小動物を狙って肉食獣が集まる。
北限の森林地帯タイガ、雪で覆われた針葉樹林の雪が溶けると地球の酸素濃度が上昇するというのは驚きだ。落葉することのない針葉樹は光合成の能力は広葉樹と比べて低いわけだが、日の光さえあれば季節を問わず光合成が出来る。それは針葉樹林が分布する北方の地域が太陽光線の乏しい地域であることを意味している。
赤道付近では季節は雨季と乾季という形で現れる。乾いた土地で水を求める動物たちの道行き、それは壮大な光景だ。
赤道から南極までを旅するのはザトウクジラ。クジラはやはり海の王者だが、途中で登場するホオジロザメの迫力ものすごい。
主に空中から動物達を捉えたその映像は本当にすごい。この映像は動物たちの生き物としての美しさを記録したものだ。温暖化に対して何かをするべきだというメッセージが載せられてはいるが、この映像自体がそれを語っているわけではなく、この映像には実はどんなメッセージでも載せられる。
素材としては素晴らしいのだから、主に動物のコドモを使って同情心に訴え、「自然を守ろう」的なメッセージをわざわざ声高に叫ぶ必要はなかったのではないかと私は思う。素材だけを提供してそれをどうとらえるかは見る人に任せる。そんなやり方のほうがよかったのではないか。
季節の移り変わりを一瞬で見せるCGもあまりうまいとはいえない。いかにも偽者っぽい映像を作るくらいなら、単純なクロスフェードで見せたほうがよっぽどよかったんじゃないか? 自然そのものの姿は小手先の加工よりはるかに説得力があるものなのだから。
個人的にはヒマラヤを越える鳥たちのパートが印象的だった。ヒマラヤを登っていて、上を鳥が飛んでたら驚くだろうなぁ…