サボテン・ブラザース
2009/7/21
¡Three Amigos!
1986年,アメリカ,105分
- 監督
- ジョン・ランディス
- 脚本
- スティーヴ・マーティン
- ローン・マイケルズ
- ランディ・ニューマン
- 撮影
- ロナルド・W・ブラウン
- 音楽
- エルマー・バーンスタイン
- 出演
- スティーヴ・マーティン
- チェビー・チェイス
- マーティン・ショート
- トニー・プラナ
20世紀初頭のメキシコ、盗賊に悩まされている村の娘カルメンは助けを求めにやってきた町で“スリー・アミーゴス”が活躍する映画を見る。彼らを本物のヒーローと勘違いした彼女は彼らに電報を打つ。スリー・アミーゴスのほうは映画会社をクビになったところで、ショーの依頼と勘違いしてメキシコの村へ向かう…
ナンセンスコメディの名手ジョン・ランディスの代表作。くだらなさにほのぼのとした感じが合わさっていい感じ。
ジョン・ランディス監督、スティーヴ・マーティン主演のコメディ映画の名作、いまや古典と言ってもいい作品。記憶も薄れて久しぶりに見るにあたって、果たして作られて20年たってもまだ楽しめるのかとちょっと不安を覚えていた。
スリー・アミーゴスを本当のヒーローだと思ってしまうメキシコ側、会社をクビになってしまうスリー・アミーゴスの側、どちらもオーソドックスな展開で安心感がある始まり。
スリー・アミーゴスがメキシコに行ったら、今度はアミーゴスがいつこれが芝居ではないと気づくのかという展開と、メキシコの人たちとアミーゴスのズレが面白い。酒場で踊りを披露するアミーゴスの踊りもなんだか楽しい。
そして、盗賊が本物だと気づいてアミーゴスは当然逃げ出すわけだけれど、ここで翻意して闘うことにしないと話にならない。そしてそうなったときにどうやって盗賊をやっつけるのかということに後半のプロットは集中する。
この映画は純然たるコメディでありながら、展開にも力がある。もちろんありきたりといえばありきたりなのだけれど、その細部に興味が行くように脚本が練られているのがいい。
そして、この前半と後半の合間にある砂漠での野宿のシーン、わかりやすく作り物のセットの中で3人が歌を歌うのだけれど、このシーンがなんともいい味わい。ミュージカルというほどでもないのだけれど、ミュージカル的な色を感じさせる秀逸なシーンだ。
その後には“透明の騎士”というバカバカしいシーンも登場、この映画の魅力はバカバカしさとほのぼのの絶妙なバランス、観ていてここまでハッピーな感覚を覚える映画というのはなかなかない。
もちろん、この感覚を受け付けない人もいるだろう。ジョン・ランディスはアメリカではコメディ映画の巨匠だが、日本ではあくまでマニア受けする映画監督でしかない。スティーヴ・マーチンだって日本での認知度は高いが、それはコメディアンとしてではなくむしろ渋い役者としてだ。それはおそらく日本とアメリカのコメディに対する感覚の違いによるものだ。
それはわかっているけれど、それでも私はこの作品は傑作だと思う。笑えない笑いの部分があっても、それでもこの映画は楽しい。普通は冗長と感じられてしまう歌のシーンまでも楽しいのだ。ナンセンスコメディにアレルギーのある人もぜひ一度観てみて欲しい。