
ゴー・ファースト 潜入捜査官





2009/8/28
Go Fast
2008年,フランス,89分
- 監督
- オリヴィエ・ヴァン・ホーフスタッド
- 脚本
- ジャン=マルク・スヴィラ
- ビビ・ナセリ
- エマニュエル・プレヴォスト
- 撮影
- ジャン=フランソワ・アンジャン
- 音楽
- アレクサンドル・アザリア
- アゴリア
- 出演
- ロシュディ・ゼム
- オリヴィエ・グルメ
- ジャン=ミシェル・フェト
- カタリーナ・ドゥニ

潜入捜査が専門の刑事のマレクは麻薬組織の捜査の途中で親しい同僚を殺されてしまう。失意のそこにあった彼は麻薬取締局の潜入捜査官に転身し、厳しい訓練を経て組織に潜入した彼はスペインからパリへと超スピードで麻薬を運ぶ“ゴー・ファースト”となった。
リュック・ベッソンのヨーロッパ・コープ制作のクライム・アクション。リュック・ベッソンって本当にカーチェイスが好きね。


© 2008 EUROPACORP -AVALANCHE PRODUCTIONS
プロットはごくごくオーソドックス。同僚を殺された刑事がその恨みを晴らすために巨大組織に潜入し、それを壊滅させようともくろむ。そしてそこに同僚を殺した仇敵も下っ端として入ってくる。その捜査にはアメリカも絡んできて、アメリカからの捜査員も一人潜入しているという情報が与えられている。そんな条件のなか、捜査官であることがばれないようにしながら、味方を見つけ捜査を完遂させる。そこへ向けて物語は進み続ける。
序盤のスラムのような町での暗い雰囲気がまずいい。ここはあくまで導入部なのだけれど、観客を引き込むセンスを感じさせる。監督のオリヴィエ・ヴァン・ホーフスタッドはこれが長編としては2作目の監督作品、1作目は日本未公開だがコメディ映画らしい。
それはともかく、この暗く魅力的な序盤が終わるとあとは徹底的にアクション。主人公のマレクが厳しい訓練を受けるところも、組織に潜入し驚異的な運転テクニックを見せるところもなかなか面白い。
しかし序盤と比べるとなんだか普通で、プロットが単純なだけにいまひとつインパクトが弱い。色々な伏線を張ろうとしているのだが、これまたオーソドックスでそれがどのように展開していくかも読めてしまう。アメリカからの潜入捜査官というのも誰なのか見え見え、もう少し「誰が味方なんだろう?」というはらはら感を演出してもよかったと思う。
まあでも痛快な作品ではある。クルマ好きでアクション好きならまずはずれと思うことはないだろう。
しかしリュック・ベッソンは『TAXi』に始まり、『トランスポーター』とか『ミシェル・ヴァイヨン』とか本当に車が好き。この作品にクレジットはされていないが、彼のヨーロッパ・コープが制作しているから、ヨーロッパ・コープにはクルマ好きが集まっているのかもしれない。
ヨーロッパ・コープのアクションは基本的にあまり外れはない。アクション映画を観たい!というときに観ないと大して面白く感じないのも確かだが、アクション映画としての質は高い。ハリウッド的な作品を作ってハリウッドに肩を並べる数少ないヨーロッパの会社、まあアクションが観たくなったら色々観ようかな。


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