ボビーZ





2009/9/15
The Death and Life of Bobby Z
2007年,アメリカ=ドイツ,96分
- 監督
- ジョン・ハーツフェルド
- 原作
- ドン・ウィンズロウ
- 脚本
- ボビー・クラコワー
- アレン・ローレンス
- 音楽
- ティム・ジョーンズ
- 出演
- ポール・ウォーカー
- ローレンス・フィッシュバーン
- オリヴィア・ワイルド
- キース・キャラダイン
- ジェイソン・ルイス

ボビーZは西海岸の伝説的な麻薬ディーラー、麻薬取締局は彼がタイで死んだことを知っていたが、メキシコのマフィアにとらえられている捜査官との交換のためボビーZが必要となる。そこで元海兵隊員の服役囚ティム・カーニーを身代わりに仕立て上げることに。しかし、その交換の場で銃撃戦が起こってしまう。
ドン・ウィンズロウの『ボビーZの気怠く優雅な人生』をポール・ウォーカー主演で映画化。ごく普通のアクション映画。

伝説的な麻薬ディーラーのボビーZにさせられたケチな犯罪者ティムがメキシコのマフィアのドン・ワテロに歓待され、そこから逃走し… という話。しかし実はそのお膳立てをした麻薬取締局の捜査官クルーズが黒幕らしく、ティムはマフィアと麻薬取締局の両方から追われ、さらには刑務所での恨みを晴らそうとする奴らにも追われる。
基本的にアクション映画なのだが、いろいろと余計な要素がつく。そのいろいろな要素がどうも唐突で納得できない点が多すぎる気がする。ティムはマフィアのところから逃げるとき、ボビーの息子であるキットを連れて行く。これは終盤への伏線なのだが、なぜティムがキットを連れて行くのかがちっともわからない。同情するくらいボビーになりきっていたということか?
ボビーにはモンクという相棒がいるのだが、このボビーとモンクとエリザベスの関係もよくわからない。まあティムは何もわかっていないのだから、観客をボビーの立場におくならそれはそれでいいという考え方もできるのだろうが、すべての展開があまりに唐突過ぎ、物語の面白みを味わうことができない。
かといってアクションがすごいかというとそ言うわけでもない。物語りもそこそこ、アクションもそこそこという感じ。
ただ、原作は面白かった。原作が面白い映画を見ると失望することが多いが、これもそのひとつ。とはいえ原作も抜群に面白かったというわけではなく、そのために映画が面白くなく感じられるというわけではない。ただ、映画では説明できていないところが小説では説明でき、人物や人間関係に深みが生まれる。この作品ではほとんど触れられないキットの母親オリヴィアや、ボビーとモンクの関係なんかが深く語られている。やはり1作の本を90分の映画にするってのは相当難しいってことだ。
でも面白い小説と素晴らしい映画が結びつくこともある。そんな幸せな結合の発見のためには度重なる失敗も必要なのではないかと、そんな寛容な気持ちになりなれたのはポール・ウォーカーがあまりにさわやかだったからか、ローレンス・フィッシュバーンがはまっていたからか?