シャッター・アイランド





2010/9/21
Shutter Island
2009年,アメリカ,138分
- 監督
- マーティン・スコセッシ
- 原作
- デニス・ルヘイン
- 脚本
- レータ・カログリディス
- 撮影
- ロバート・リチャードソン
- 音楽
- ロビー・ロバートソン
- 出演
- レオナルド・ディカプリオ
- マーク・ラファロ
- ベン・キングスレー
- ミシェル・ウィリアムズ

ボストン沖合いに浮かぶ島“シャッターアイランド”は精神病と診断された凶悪犯を収容する精神病院がある。そこでレイチェルという女性患者が姿を消したと聞き、連邦保安官のテディとチャックが捜査に訪れる。テディは病院の人々に不信感を募らせる一方でレディスという患者について質問をする…
「ミスティック・リバー」のデニス・ルヘイン原作のサイコ・ミステリー。監督はマーティン・スコセッシ。

誰も脱出できないはずの島から消えてしまった女性、しかもその女性が不意に帰ってくる。そこに不信を募らせる連邦保安官のテディは病院の関係者に不信感を抱き、同時に個人的に恨みを抱くレディスという患者の捜索も行う。
まあミステリーということで隠された謎を解いていくというプロット。誰が本当のことを言っていて、だれが嘘を言っているのか、何が隠されていて何が明かされているのか、テディはじわじわと最大の謎に近づいていくという感じだ。
最後まで見ると「なるほどな」と腑に落ちる。終盤に差し掛かったところで謎解きの結論は見えてくるので「びっくり!」というどんでん返しではないが「なるほどそう来たか」と納得して終わることはできる。謎が解かれたあとの展開もなかなかいい。
あとは、ディカプリオがいい感じで老けてきて味が出てきたという印象が強かった。少し前までは童顔なのにおっさん臭くなってなんだか不自然な感じがしたが、ようやく歳相応の雰囲気を身につけたという感じ。スコセッシとのコンビも長くなってきたのでお互いの理解も深まってきたのかもしれない。
ネタばれせずにいえるのはこの辺りまで。とりあえず何の予備知識も入れずに観れば楽しめます。
で、ちょっとネタばれしつつ少し書きます。
こういう「誰が狂っているのか」的な作品というのはよくあるわけで、まあ使い古された感はあるけれど、見終わった後振り返ってみて破綻がなく、むしろ色々と謎が生まれてくる作品というのは、いい作品だと思う。この作品はまさにそれで、それぞれのシーンのどれが現実でどれが幻想/幻覚なのか、という考えるとなかなか面白い。たとえば、患者の一人がこっそりとテディに伝えた「逃げて」という言葉、それは現実だとしたら何を意味するのか、そして幻覚だとしたら何を意味するのか。
それに答えは出ないけれど、そのような疑問を次々と出して、その一つ一つに自分なりの答えをつけていくと物語全体がまた違った形に見えてくる。そんな見方というか振り返り方ができるのはなかなか楽しい。