ソラニン
2010/9/24
2010年,日本,126分
- 監督
- 三木孝浩
- 原作
- 浅野いにお
- 脚本
- 高橋泉
- 撮影
- 近藤龍人
- 音楽
- ent
- 出演
- 宮崎あおい
- 高良健吾
- 桐谷健太
- 近藤洋一(サンボマスター)
- 伊藤歩
- ARATA
大学時代に軽音サークルで知り合った芽衣子と種田。芽衣子は会社での雑用に嫌気が差し、フリーターの種田はバンドの夢を捨て切れない。種田の言葉で会社を辞めた芽衣子は自由を謳歌し、種田ももう一度本気でバンドをやろうと考える…
浅野いにおのコミックの映画化。音楽がモチーフのストレートな青春映画。
主人公は大学を出て2年という若者達で、フリーターだったり、大学6年生だったり、家業を継いでいたり、雑用ばかりのOLだったりする。そんな若者達がバンドを巡ってすったもんだするすごくストレートな青春映画だ。
まあ、そんな感じなので物語のほうはたいがいというかほとんど展開が読めてしまい、面白みはない。「あー次はこうなるんだろうなぁ」ということがそのまま起きて、あまりに予想通り過ぎて逆にびっくりしてしまうという感じだ。
それでもこの映画がつまらなくないのは宮崎あおいによるところが大きい。宮崎あおいは演技がうまいようには見えない。しかし凄く自然体で、ナチュラルに見える。他の映画や映画以外で見ても彼女のキャラクターにはぶれるところがないので、この映画でも素に近い感じがするのだ。
でも、実際は凄く演技がうまいのではないかとこの作品を見て思った。映画で演じているキャラクターも普段とあまり代わりがないのかもしれないが、クロースアップでとらえられるときの体の細かな動きなんかを見ると、明確に“演技”をしているのだとわかる。すごく自然でリアルにみせる“演技”をみせているわけだ。
というように分析はしてみたものの、要するにすごく自然だったということで、その宮崎あおいの存在がこの映画を面白いものにしているということだ。
後は、サンボマスター演じる加藤のキャラが面白かったというくらいだろうか。もちろん、青春映画らしい甘酸っぱさもあり、入り込めれば感動もできるし、音楽というのはやはり力があるし、そういう要素がいろいろと組み合わさってこの映画のどだいとなっていることも確かだ。非常にオーソドックスな青春映画というどだいの上で宮崎あおいがその魅力を発揮する。そんな映画。
ところで、ソラニンというのはジャガイモの芽にある毒だそうだ。なんとなく音だけからは「空」を連想させ、なんとなく青い色が映画全体のイメージとしてあるような気もするが、実際には関係がない。ソラニンがジャガイモの目にある毒だということは映画の後半にさらりと明らかになるが、語感も意味もなかなか魅力的な言葉だと思った。まああまり映画とは関係ないけど。