SUPER 8
2003/1/31
Super 8 stories
2001年,イタリア=ドイツ,92分
- 監督
- エミール・クストリッツァ
- 撮影
- ミシェル・アマトゥー
- 音楽
- ノー・スモーキング・オーケストラ
- 出演
- ノー・スモーキング・オーケストラ
- エミール・クストリッツァ
エミール・クストリッツァの作品『黒猫・白猫』でも音楽を担当した“ノー・スモーキング・オーケストラ”。クストリッツァ自身もギタリストとしてバンドに帯同したツアーをドキュメンタリーとして撮った映画。
ロックンロールにジプシー音楽とジャズの要素を織り込み、ビッグバンド編成で派手に演奏するノー・スモーキング・オーケストラの音楽が中心だが、そのライブの舞台裏やメンバーのインタビュー、過去の映像なども織り交ぜて、バンドの全体像が浮かび上がるようなつくりになっている。
これはエミール・クストリッツァの映画というよりは、“ノー・スモーキング・オーケストラ”(以下NSO)のライブビデオであり、バンドヒストリーである。ライブの場面では演奏のシーンに多くの時間を割き、演奏者にアップで迫る。これはまさにライブビデオの撮影技法であるといっていい。クストリッツァ自身もその舞台に立って入るのだが、監督として何かをすることはなく、純粋にライブをやっているに過ぎない。
ライブ以外の部分では、それぞれのメンバーのインタビューと歴史などが語られるが、これもバンドのPV集などに一緒に入っている映像にありがちなもの。なので、この映画はNSOのミュージックビデオというのが一番ふさわしいということになる。
それでも、そもそもこのNSOのサウンドが独特で、クストリッツァらしさと合致している。クストリッツァが参加しているのだから当然といえば当然だが、このバンドを被写体に選んだ時点でこの映画がまぎれもないクストリッツァの映画になることも確実だったのだ。クストリッツァの映画からドラマの部分を抜いたもの、それがこの映画である。
なので、純粋に音楽が好きな人でないとこの映画は厳しい。この映画で面白いところというと、やはり演奏シーン。ライブシーンなんかはやはりすごいけれど、それはあまりすごさは感じない。それよりもギターの練習シーン(ココは本当にすごい)とか、ドラムを演奏するシーンとか、そんなシーンがすごい。
その音や響きを楽しむことが出来るか、それがこの映画のすべてであり、クストリッツァもまた純粋に音楽だけを伝えたかったのだと思う。