プロポーズ
2003/6/5
The Bachelor
1999年,アメリカ,102分
- 監督
- ゲイリー・シニョール
- 脚本
- スティーヴ・コーエン
- 撮影
- サイモン・アーチャー
- 音楽
- デヴィッド・A・ヒューズ
- ジョン・マーフィ
- 出演
- クリス・オドネル
- レニー・ゼルウィガー
- ハル・ホロブルック
- ジェームズ・クロムウェル
- マライア・キャリー
- ブルック・シールズ
独身男のジミーはランチでたまたま背中合わせに座ったアンに運命的なものを感じ付き合い始める。ジミーは結婚に恐怖心を持っていたが、まわりの友人たちは次々と結婚してゆき、ついに自分の番かと観念したジミーはアンをプロポーズの名所“スターライト”の夕食に誘い、ついにプロポーズをするが、大失敗をしてしまう。ジミーはアンに気持ちを伝えようとバラを送り続けるが、そんなある日、ジミーの祖父が亡くなって…
レニー・ゼルウィガーとクリス・オドネル主演のラブ・コメディ。いかにもラブ・コメディというラブ・コメディで、小さくまとまったそれなりの作品。マライア・キャリーとブルック・シールズがチョイ役で出ているのに注目。
ちなみに、バスター・キートン主演の『セブン・チャンス』をヒントにしたのか、リメイクしたのかという作品だと思います。もちろん『セブン・チャンス』のほうが数百倍面白い。
いまやアカデミー賞にノミネートされるまでになったレニー・ゼルウィガーが注目されるようになってきたのがこの頃、この作品や『ベティ・サイズモア』の演技はコメディ演技でありながら、演技派の片鱗を感じさせる見事なもの。決して絶世の美女とはいえないルックスながら、どこかコケティッシュというか、不思議な魅力を持つ美女。そして同時にどこかに危うさを持つようなキャラクター。天然ボケであれ、狂気のふちであれ、どこか普通の人と外れたキャラクターというのがこの人の外見にはあう。
しかし、この映画のレニーはまったく普通のキャラクター。出てくる人みんなが普通の人。そんな中で、普通の人を演じていてもやはりひとり光って見えるというか、うまさを感じさせる。特に妹とのやり取りのシーンはなかなか面白く、映画全体としても一番面白い場面だと思う。クリス・オドネルはなんだかボーっとしていて今ひとつ。
というわけで、レニー・ゼルウィガーに尽きる映画だと思うのですが、映画的には『セブン・チャンス』をリメイクしたと思われる数百人の花嫁がウェディングドレスで追いかけっこするシーンを一つの目玉としているのでしょう。でも、もちろん7000人の花嫁に追われるキートンのすごさ、面白さにクリス・オドネルがかなうはずもなく、映画の作りも、ロングショット・1カットで大迫力のシーンを撮った『セブン・チャンス』に比べて、この映画の切れ切れの、段取り見え見えのシーンの積み重ねはあまりにお粗末。大々的にリメイクとせず、わかる人にはわかるという感じにしておいてよかったというところでしょう。あからさまに『セブン・チャンス』のリメイクとしてしまったら、あまりのお粗末さに非難ごうごうとなっていたところ。
ラブ・コメ好きの人ならば、楽しく見れるし、カップルで見ても面白いというところ。キートンなんかを見ちゃう映画好きには駄作にしか見えないでしょう。私は並みの作品だと思います、レニーを除き。