Seven Chances
1925年,アメリカ,60分
監督:バスター・キートン
原作:ロイ・クーパー・メグルー
脚本:ジーン・ハーベッツ、クライド・ブラックマン、ジョゼフ・ミッチェル
撮影:バイロン・ホーク、エルジン・リーズリー
出演:バスター・キートン、ロイ・バーンズ、ルス・ドワイヤー、ジーン・アーサー

 愛する人になかなか告白ができない破産寸前の青年実業家ジミーのところにある日、見知らぬ弁護士が。ジミーは裁判所からの呼び出しと思い避けていたが、それは実は700万ドルの遺産を与えるという遺言だった。しかし、条件は27歳の誕生日の午後7時までに結婚すること。そして、その誕生日というのは…
 バスター・キートンが最も旺盛に作品を送り出していた20年代の作品の一つ。キートンの代表作の一つに上げられるスラップスティックコメディ。ひたすら人間の力を使ったアナログな力技がすごい。

 やはりバスター・キートンなんだからこれくらいベタなギャグで行ってくれないとね。という感想がまず出てくる、とにかくべたべたべたべたなギャグ連発。最初の犬が異様にに早くでかくなるところからかなりのものだが、実際のところ前半はまだまだ助走という感じで、後半に入って一気にスピードアップ。7000人もの花嫁はとにかく圧巻で、これだけの人が同時に動くとかなり映像的にも力強い。おっかけっこというのはスラップスティックコメディの定番だけれど、1対7000となると、なかなかないでしょう。
 個人的には、終盤の岩のところのほうが好き。これぞキートン、俺は今バスター・キートンを見てるぞという気分を満喫できる場面。岩は明らかに張りぼてだけれど、やはりキートンの動きはものすごい。本当に一人の人が動いているだけでこれだけ長い時間見せて、笑わせてしまえる映画が100年の間にどれだけ作られただろうか?コミカルさをあおる音楽や、岩の落ちる効果音や、主人公の嘆息がつけ加えられた今の映画にこれだけの表現力があるのか? と思わずにいられない。

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