ハンテッド
2003/8/17
The Hunted
2003年,アメリカ,95分
- 監督
- ウィリアム・フリードキン
- 脚本
- デヴィッド・グリフィス
- ピーター・グリフィス
- アート・モンテラステリ
- 撮影
- キャレブ・デシャネル
- 音楽
- ブライアン・タイラー
- 出演
- トミー・リー・ジョーンズ
- ベニチオ・デル・トロ
- コリー・ニールセン
- レスリー・ステファンソン
コソボで活躍し、勲章を得たハラムは戦場の凄惨な記憶にさいなまれながら、オレゴン州の森にいた。その森にやってきたハンターに腹を立てた彼は彼らを徐々に追い詰めていく。
一方、カナダで野生動物保護官をやっているL.T.は傷ついた狼を追跡し、その罠を仕掛けた男を怒鳴りつけた。そのL.T.にところにFBI捜査官がやってきて、事件解決の協力を求めた。
『フレンチ・コネクション』のウィリアム・フリードキンによるサスペンスアクション。トミー・リー・ジョーンズにベニチオ・デル・トロという渋いキャスティングがなかなか。
L.T.がハラムの隠れ家で見つける聖書と1枚のイコン、ここでこの映画が聖書の物語の翻案であることがわかる。聖書の物語の翻案というのはサスペンスの常套手段ではあるけれど、果たしてどれくらいの効果があるのか、ある意味では物語の展開を前バラシしてしまうもので(それほど見る人が聖書に通じているとは思えないけれど)、サスペンスとしては面白くなくなってしまうような気がする。それでも聖書が効果的に使われているような映画もあるけれど、この映画場合はあってもなくてもいいというか、聖書を引用しているからといって何かが加わるわけではない。にもかかわらずこの映画は聖書に固執し、最後までそれを引っ張る。それがどうにも興ざめなのがこの映画の最大の問題であるような気もする。
ということなので、そのあたりは無視することにして、無視してしまうと物語のほうはどうでもいいというか、あってないようなもの。いろいろと思わせぶりなシーンなんかもあるけれど、それもまあ、特に意味のないものとなってしまう。 というわけで、結局のところアクションがすべて。ベニチオ・デル・トロとトミー・リー・ジョーンズの格闘シーンをクライマックスとして、純粋に肉体だけに頼ったアクションシーンを見ることができる。CG全盛のこの時代、この映画(多分)CGなどは使わず、いいスタントマンを使って見事なシーンをいくつも作り出している。
追う者と追われる者との間にみなぎる緊張感もなかなかいい森から街へ、そして再び自然の中へ、その舞台の変化もまた追いつ追われつ展開する大きな意味でのアクションを盛り上げる。そのアクションを見ていれば、最後まで退屈することなく映画を見ることができる。