シカゴ
2003/10/10
Chicago: The Musical
2002年,アメリカ,113分
- 監督
- ロブ・マーシャル
- 原作
- ボブ・フォッシー
- フレッド・エップ
- 脚本
- ビル・コンドン
- 撮影
- ディオン・ビーブ
- 音楽
- ジョン・カンダー
- ダニー・エルフマン
- 出演
- レニー・ゼルウィガー
- キャサリン・ゼタ=ジョーンズ
- リチャード・ギア
- クイーン・ラティファ
- ジョン・C・ライリー
- ルーシー・リュー
1920年代のシカゴ、キャバレーのスターであるヴェルマは相棒の妹とマネージャーの夫を殺し、その夜ひとりで舞台に立っていたが、そこに警察がやってくる。その舞台を羨望の眼差しで見ていた売れないダンサーのロキシーはそのキャバレーの支配人と知り合いだというフランクと逢瀬を繰り返すが、1ヵ月後それが嘘だったことを知り、彼を衝動的に殺してしまう。そしてヴェルマとロキシーは留置所で出会うのだが…
トニー賞も受賞したボブ・フォッシーの名作ミュージカルの映画化。監督はブロードウェイの売れっ子演出家ロブ・マーシャルと、ブロードウェイをそのまま映画化したという印象で、さすがにミュージカルシーンの迫力は圧巻。アカデミー賞でも作品賞をはじめとして6部門を受賞。
昨日も書きましたが、ミュージカルにはどうも苦手意識があります。アカデミー賞6部門受賞というこの名作でも、それは変わりません。ミュージカル映画のリズム、それにどう乗っていいのかわからない。そういう意識を持って映画を見てしまいます。
それでもこの映画はストーリーがかなりしっかりとしていてミュージカル映画の中ではかなりうまく乗っていけるほうでした。通り一遍等の物語ではなくて、サスペンスフルなよく練られたプロットになっているので、物語中心に見ても十分に興味を持って見続けることができるというところが気に入ったところということになります。
そして、クイーン・ラティファの歌声を久しぶりに聞けたというのもよかったし、レニー・ゼルウィガーも意外によかった。アカデミー賞を取ったのはキャサリン・ゼタ=ジョーンズですが、私のようなミュージカル苦手派には、あのイケイケというか「私ミュージカルスターよ」というオーラがビンビンに出ている演技派どうもこっ恥ずかしく、レニー・ゼルウィガーぐらいの演技のほうがしっくり来るような感じです。しかし、リチャード・ギアはどうも今ひとつ。ニタニタ顔でたどたどしく踊る姿を見ていると、この人はミュージカルはあまり向いてないのかなぁ…と思ってしまう次第です。腹話術のシーンは面白かったですが、それはきっとリチャード・ギアが踊ってなかったからでしょうねぇ。
ということで『ムーラン・ルージュ』よりは相当面白かったわけですが、それはおそらく音楽のクオリティの高さにあるんでしょう。出来合いの耳なじみのあるポップミュージックをアレンジして使うという安易なものと、ブロードウェイのために作られたオリジナルの迫力の違い。それが一番の違い。“オール・ザット・ジャズ”をはじめとして、踊りがあってこその名曲がびっしりと詰まっています。
さて、あと気になったのはラストです。最後はステージシーンでしめられるわけですが、ラストシーンが始まって私は「ああ、これは想像なんだろうなぁ」と思いながら見ていたんですが、最後まで見ていてもそれが想像であるということは明らかにならない、というより現実として描かれているような気がする。まあ、どっちでも結末としては成立すると思うし、どちらと解釈することも不可能ではないので、いいといえばいいんですが、想像であるとしたほうが映画的という気がします。現実であるとするよりも、悲惨であるようでいながら実は夢があるという気もするし。
まあ、どちらにしても“オール・ザット・ジャズ!”ということで、お祭り騒ぎのまま映画は終わるのですが。