007/ゴールドフィンガー
2003/12/23
Goldfinger
1964年,イギリス,109分
- 監督
- ガイ・ハミルトン
- 原作
- イアン・フレミング
- 脚本
- リチャード・メイボーム
- ポール・デーン
- 撮影
- テッド・ムーア
- 音楽
- ジョン・バリー
- 出演
- ショーン・コネリー
- ゲルト・フレーべ
- オナー・ブラックマン
- シャーリー・イートン
- セク・リンダー
マイアミでヴァケーション中のボンドの元にCIAの友人フェリックス・ライターがやってくる。彼はボンドに同じホテルにいる大富豪ゴールドフィンガーを監視するようにいう。ボンドはそのゴールドフィンガーの部屋にいたジルと部屋にいるところを何者かに後ろから殴られ、ジルが全身を金粉で塗られて殺されてしまう。本部に帰ったボンドはゴールドフィンガーが金の密輸を告げられ、彼の尻尾を掴むよう指令を受ける。
007シリーズの第3作。ボンド・ガールのほうは3人が登場し、今ひとつ焦点が絞れていない感があるが、Qの発明工場などの007の娯楽的要素が固まってきて、軽く楽しく見ることができる。
007って、あまり語ることがない映画だと思います。ストーリーを語ってみても仕方がない。語るとしたら、その時々の敵役のキャラクターか、ボンドが使う小道具か、といったところ。私はそれほど007シリーズになじんでいないので、昔の作品を見ると、まだまだいろいろ新鮮なものがあります。この作品にも登場するCIAのフェリックス・ライター、MやQやマニー・ペニーと比べるとあまり目立たないキャラクターだと思いますが、この作品に限らず意外に頻繁に登場している。『ドクター・ノオ』ではジャック・ロードが演じていて、その後、登場するたびに演じる人が違う。このキャラクターがなかなか愛すべきキャラクターだと思います。この映画でそのライターの相棒になっているのが誰だかはわからないものの、ふたりはボンドを信頼して、というかボンドに任せてボンドを好きに振舞わせる。これがボンドの危機を生むこともあるけれど、その関係がなかなかよく、上司であるMとは違ってボンドといい関係にあるという気がする。今後も見るときはライターに注目したいと思います。
というライターが今日の注目の一つ目でしたが、敵のほうのキャラクターでは謎の怪力の持ち主、帽子をブーメランのように投げて敵を倒す“よろず屋”。狡猾さがずば抜けた敵のボスゴールドフィンガーと非常にいいコンビ。敵ながら、この作品にしか出てこないというのが残念な気がします。ジェームズ・ボンドの魅力はなんといってもその余裕で、どんなに追い詰められた状況でも余裕があるということだと思うのですが、この“よろず屋”もゴールドフィンガーも常に余裕がある。結局はいつものパターンで、その余裕が裏目に出て最後にはボンドにやられてしまうことは目に見えているのだけれど、その余裕と余裕のたたかいがかなり面白いのでした。ボンドのほうもまだまだ秘密兵器が貧弱な中、相手方のやることがなかなかエキセントリックで面白いというのもあります。
というところですが、あとは小道具として登場するドン・ペリくらいです。ドクター・ノオでもドン・ペリが出てきて、ボンドが凶器としてドン・ペリを使おうとして、「何年ものだ」とか言われてやめて、「何年のほうがおいしい」とかいって返すというシーンがあったっともいますが、今日は「ドン・ペリは3.5度以下で飲まなきゃいけない」などというようなコメントが出てきます。こういうのを見ていると、公開当時これを日本で見ていた人たちがどう見ていたのかというのが気になります。洋酒といえばせいぜいウィスキー、庶民の味方はトリス・ウィスキー、ワインといったら赤玉ポートワインくらいという時代(だと思う)“ドン・ペリ”などという言葉がどう訳されたのかそもそも気になるところで、それがどう受け取られたのかがまた気になるところです。ショーン・コネリーの格好よさとあいまって西洋の格好よさの象徴のように捉えられたのかもしれませんね。