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ラッキー・ブレイク

2003/12/26
Lucky Break
2001年,イギリス,108分

監督
ピーター・カッタネオ
脚本
ロナン・ベネット
撮影
アルウィン・H・カックラー
音楽
アン・ダッドリー
出演
ジェームズ・ネスビット
オリヴィア・ウィリアムズ
ティモシー・スポール
レニー・ジェームズ
ビル・ナイ
ロン・クック
preview
 相棒のルディと銀行強盗に入ったさえない泥棒のジミー、ルディが見事に失敗し、ジミーはルディを置いて逃げるがすぐに捕まる。そのまま刑務所に入って5年後、移送され来たジミーとルディが再開する。ジミーがルディに脱獄の相談を持ちかけると、ルディは古いチャペルからなら可能だと答える。そのころミュージカル好きの所長がチャペルでミュージカルを上演する案のジミーにもちかけ、ジミーはこれ幸いとミュージカルに協力することにするが…
 『フル・モンティ』のピーター・カッタネオによるこれまたいかにもイギリスらしいコメディ映画。出ている役者も「どっかで見たことあるけど誰だっけ…」という感じの人が大集合。気軽に見れて、それなりに楽しめる。そんな典型的なブリティッシュ・コメディ。
review
 私は、イギリスのコメディ映画というのがなんだかどうもすきなんです。爆笑するシーンがあるわけではなく、むしろ楽しいよりも切ない感じがするものが多いにもかかわらず、なんだか見終わると気持ちいい感じがする。とくにこの映画とか『フル・モンティ』の落ちぶれた感じのイギリス人が主人公となるコメディがいい。今回は舞台が刑務所なので場所がどことか言うことはわかりませんが、主人公のジミーの話し方からするに、ロンドンとか南部のイングランド地方ではなく、スコットランドかウェールズの北部地方の人らしい。『フル・モンティ』は一応イングランドのどこかの話だったと思いますが、それでも北のほうの印象がありました。
 さらに、このジミー、どこかで見たことあると思ったら、『ウェイクアップ!ネッド』でしょうしょう間抜けな兄ちゃんを演じていた人でした。『ウェイクアップ!ネッド』は確かアイルランドの話。これまた、なんとも切なさ漂うコメディで、この作品に比べるとおバカ系のコメディではあったものの、イギリス/アイルランドらしさはばっちりという感じ。
 というように、私はイギリス/アイルランドのコメディが好きなようなので、この映画もおのずと気に入ってしまう。特に何が面白いとか、何のネタが笑えるというわけでもないけれど、なんだか面白い。
 少々、自分なりに分析してみると、きっと「人」がいいのではないかと思います。私が好きなブリティッシュ・コメディのパターンを考えてみると、主人公を中心とした何らかのグループがあって、それが話の中心になる。そのグループはたいがいつらい境遇にあったり、つらいまでは行かなくても寂れた田舎町で寂しく暮らしている人たちだったりする。その人たちが少々日常とは違うことを起こして、それに絡んで、ちょっとした悪人が登場して、最終的には悪人がつらい目を見て、主人公たちはささやかな幸せを手に入れる。そんなパターンの話(ほぼ完全にこのパターンにはまる)なわけですが、その主人公たちがとにかく人がいい。「善人」というよりは人がいい。なんだかかわいそうな境遇も基本的には人のよさのせいで陥ってしまったという感があるような人たちなのです。その人たちがささやかな幸せを手に入れるという話だから、とりあえずそれだけでほほえましく、いい。
 さらに「人」がいいというのは、悪人として登場する人も、実のところ決して悪人ではなく、イジワルだけれど、そのイジワルさというのはどうも人がいいために陥ってしまったイジワルさであるという気がする。つまり同じ人の良さを持っていながら、一方はとことん人がいいためにつらい境遇を生き、他方は人の良さのためにうまく行かないがためにひねた人間になってしまった。そんなコインの裏表のような人たちだということ。
 そんな風に「人」がいい人たちの対して波乱万丈もないドラマが面白いのかといえば、われわれが生活で出会う人たちというのも基本的には彼らと変わらない人たちであるからかもしれない。われわれが日常生活で出会う人たちというのはヒーローでもないし、完全な悪人でもなく、どこか「人」がいい。というか、そんなふうに「人」がいい人でないと付き合って入られない。そんな「人」がいい人たちがちょっとした幸せを手に入れるというのは、非常に身近な喜びに近しい感じがしてリアルなのです。
 だからなんだか、見てしまう。そんなブリティッシュ/アイリッシュ・コメディが好き。
Database参照
作品名順: 
監督順: 
国別・年順: イギリス

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