恋するための3つのルール
2004/3/23
Mickey Blue Eyes
1999年,アメリカ,102分
- 監督
- ケリー・メイキン
- 脚本
- アダム・シェインマン
- ロバート・カーン
- 撮影
- ドナルド・E・ソーリン
- 音楽
- ベイジル・ポールドゥリス
- 出演
- ヒュー・グラント
- ジェームズ・カーン
- ジーン・トリプルホーン
- バート・ヤング
- ジョー・ヴィテレッリ
- ジェームズ・フォックス
オークション・ハウスで絵を売っているマイケルは学校で教師をしている恋人のジーナに、付き合ってまだ3ヶ月ではあるが、プロポーズしようと決意した。中華レストランで何とかプロポーズしたマイケルだったがなんと断られてしまう。マイケルはその原因を聞くために、自宅を訪ねようとジーナの父が経営するレストランに行ってみると、そこには怪しげなイタリア人がたまっていた…
人呼んでラブ・コメ・キングのヒュー・グラント主演のラブ・コメディ。いつものようにイギリス男の役で、ニューヨークで恋した女性がマフィアの娘だったという設定。大して面白くなさそうだが、これが意外と、なかなか面白かったりする。
ヒュー・グラントのラブ・コメは同じ話のようで、結構バリエーションがある。結局はラブ・コメで、ストーリーをいってしまうと同じ話になるんだけれど、設定やらなにやらに工夫があって、それなりにそれぞれの映画の特徴が印象として残る。この映画なら「マフィア」、『ノッティングヒルの恋人』なら「古書店」か、ジュリア・ロバーツか。
コメディにマフィアが出てくるとその映画は大体面白くなる。とくにイタリア系のマフィアというのはどうも基本的にコミカルで、コメディのネタとしては面白い。それはイタリア系という独特の文化の面白さと、マフィアであるということで大胆なことができるという面白さ。この二つがあると思う。普通のラブ・コメじゃあそうそう人を殺したりもできないが、マフィアなら人を殺して当然くらいの展開。日常生活とマフィアの生活のそのギャップが面白さを生むのだと思う。
優男とイタリア系のマフィア、この取り合わせは『アナライズ・ミー』なんてのもあったし、すでにコメディの王道なのかもしれない、などと思う。
この映画はさらにヒュー・グラントがイギリス人であるというおまけがつき、マフィアが絵を描いてしまうというこれまたかなりのギャップが生まれる。そのようにしてどんどんギャップを生んでいって面白さを演出し、物語的にはふたりの愛を邪魔するような障害が次々と出てくる。これはつまり、非常に丁寧にラブ・コメを作っていることだと思うから、これがつまらないわけはない。ということになる。
「ヒュー・グラントなんて…」とも思うけど、見てみるとやっぱり案外面白い。だからこそ「ラブ・コメ・キング」なんだなぁ、などと思う。
ただ、この邦題はよくわからない。ヒュー・グラントのラブ・コメは題名が内容とうまくリンクしていて、似たような作品だけどそれぞれの作品の印象は残るという感じがあっただけに、この作品の題はいまいちだと思う。『恋するための3つのルール』だなんていわれても、「果たして3つのルールなんて出てきたっけ?」という印象なのだ。しかし、これはあくまで邦題。原題は“Mickey Blue Eyes”で、これはなかなかいい題だ。しかし、このまま邦題にしてみても今ひとつキャッチーではないので、邦題をつけたのだろうが、邦題のつけ方はいまいちだったといわざるを得ない。
原題のほうが謎めいていて、映画の内容にあっている。邦題はあまりにラブ・コメ然としていて、逆に興味がわいてこない。こんな「ラブ・ストーリーでござい」な題名だから「意外と面白い」という感想になってしまったのだと思う。