バイオハザードII アポカリプス
2005/4/6
Resident Evil: Apocalypse
2004年,カナダ=イギリス,93分
- 監督
- アレクサンダー・ウィット
- 脚本
- ポール・W・S・アンダーソン
- 撮影
- クリスチャン・セバルト
- 音楽
- ジェフ・ダナ
- 出演
- ミラ・ジョヴォヴィッチ
- シエンナ・ギロリー
- ジャレッド・ハリス
- オデッド・フェール
- トーマス・クレッチマン
- マイク・エップス
- エリック・メビウス
巨大企業アンブレラが開発したウィルス兵器“T-ウィルス”の魔手から生き延びたアリスだったが、その僅か36時間後に病院で目を覚ますと、そのアンブレラの地下研究所の上の街ラクーンシティにその“T-ウィルス”がすでに蔓延していた。そして、アンブレラ社は住民や職員を多数残したまま街を閉鎖してしまう…
人気ゲームソフトを原作とした『バイオハザード』シリーズの第2作。前作はとにかく迫り来る敵をやっつけるという感じだったが、今回はボスキャラめいたものも登場しよりゲームらしく。
前作は徹底的にエンターテインメントで、巨悪を倒すというカタルシスを感じさせてくれるいい映画だった。国家にまでつながっていそうなアンブレラという会社の悪質さ、その中でほとんど無力である善、その対立構造の中で善が勝利して行くというその体験のカタルシスが映画のすべてだった。
しかし、この続編は悪を象徴するはずであったアンブレラ社というものの存在が薄まり、確かに悪ではあるけれど、アリスは直接にアンブレラ社と対決しているという感じではなくなってしまった。アリスはなんだかわからないけれどとにかく敵をバッタバッタとなぎ倒し、最後にはボスキャラらしきネメシスと戦うことになるだろうと予想できてしまう。
これはもう善対悪という戦いではなく、単純にゲームの世界の再現だ。とにかく自分や仲間を襲ってくる敵を倒して、最終的にボスを倒す。ただそれだけのゲーム、それを映像にしただけ。そこには哲学もカタルシスも存在しない。そしてそれはもはやエンターテインメントではなく、エンターテインメントの記録に過ぎない。
プロットも中締めでとってつけたようなご都合主義の結末があって、何じゃそりゃ、となってまた続く。
こんな話だと、楽しめるとしたらそれは映像的な楽しみしかない。とくにアクションシーンの質でこの映画が可か不可かが決まってしまうのではないかと思う。最初はアリスが教会に颯爽と登場し、前作にも登場したミュータントを倒すあたりの痛快さなどにはなかなかいいものがあり、そう悪くはなかったと思ったのだが、すこしカメラを振り回しすぎで、肝心の生身のアクションというのが見えてこない。ただ勢いがあるということを表現しているだけで、ちっとも戦いを見つめているという気持ちになれないのだ。特に終盤の外での格闘がそう。最大の山場であるネメシスとの対決の場面でもその印象は強い。
だから話しいまいち、アクションシーンもいまいち、ミラ・ジョヴォヴィッチは頑張ってると思うけど、それだけで映画は面白くならないという感じで、続編にありがちなパワーダウンの典型例になってしまったという気がする。
ただ、“T-ウィルス”というものについて徹底的に考えられているのは面白いと思った。そのウィルスが人体にいったいどのような影響を与えるのかという純粋に科学的な側面でこの物語は面白くなる。前作ではただ単に人をゾンビにするというだけだったのが、今回は他の作用が明らかになり、この次の作品ではさらに別の作用が加わりそうだ。この作品の最後の続編へのプロローグを観る限り、まだ“T-ウィルス”のすべては明らかになっていない。だから、この作品がいまいちでも続編はまた面白くなるかもしれないという期待は持たせる。