コニー&カーラ
2005/6/1
Connie and Carla
2004年,アメリカ,98分
- 監督
- マイケル・レンベック
- 脚本
- ニア・ヴァルダロス
- 撮影
- リチャード・グレートレックス
- 音楽
- ランディ・エデルマン
- 出演
- ニア・ヴァルダロス
- トニー・コレット
- デヴィッド・ドゥカヴニー
- スティーヴン・スピネラ
- ダッシュ・ミホク
- アレック・マパ
- デビー・レイノルズ
スターになることを夢見ながら空港のラウンジなどでショーをするコニーとカーラはある夜その雇い主が殺されることを目撃してしまい、ふたりで逃げ出す羽目に。ロスに身を隠すことにしたふたりはたまたま入ったナイトクラブでドラァグクイーンのオーディションがあることを知り、男のフリをして受けることにするが…
『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』のニア・ヴァルダロスが脚本・主演したコメディ。歌って踊るシーンも満載。
この映画が面白いに違いないと思ったのは、コニーとカーラが殺し屋から逃げ出して車で走るときにコカインの入った袋をそれとは知らずにびりっと破ってコカインをぶちまけてしまうシーンを見てだ。問題になっているのはこのコカインなんだから、普通ならこんなことにはならない。袋の中身がコカインであることがわかって怖くなって… なんて展開があるわけだが、この映画ではわけもわからないまま袋の中身をぶちまけてしまい、ただ笑って済ましてしまう。この能天気さがこの映画に一貫する面白さである。
そしてこの能天気さというのはドラァグクイーンの世界にも通じる。ドラァグクイーンというのはそもそも世間から白い目で見られてきた“女装のオカマ”がその女装を極端にまですることで自分たち自身のことを笑い飛ばすという、ある種の社会に対するアンチテーゼとして生まれた。その底にあるのは世間の差別というものの無意味さを能天気に笑い飛ばすことであるのだ。
だからドラァグクイーンというのは必ずしもゲイばかりに向けたエンターテインメントではないし、ドラァグクイーンが必ずゲイというわけではない。
この映画では、映画の構造がわかりやすくなるようにドラァグクイーン=ゲイ=男ということに例外がないように描いているが、それはこの映画がコメディ映画としてわかりやすくなければならなかったからだろう。わかりやすいという点ではプロットもかなり予定調和的でわかりやすいので、映画全体を撮ってみると、いかにも他愛のない映画であるということになると思う。
しかし、コメディ映画なんてものはだいたいそんなもので、とくにこの映画のような歌あり踊りありなんて映画は小さなネタで笑いを取れればストーリーなんてものは映画の時間をするめる時計みたいなものでしかないのだ。
この映画で面白かったところといえば、まずはドラァグクイーン仲間が訪ねてきたときにコニーとカーラが女であることがばれないようにする変な扮装だ。扉を開けたときに出てくるその扮装のインパクトはかなり笑える。それ以外にも小ねたがチョコチョコ、劇場主のスタンレーなんかもなかなかいい。
それにしても、ニア・ヴァルダロスもトニー・コレットもちゃんと男に見えるのがすごい。特にトニー・コレットはどこから見ても本物のドラァグ・クイーンにしか見えない。ニア・ヴァルダロスの方は脚本・主演なのに女を捨てきっていない感じで今ひとつ。あれじゃあカンタンにばれちゃうよ。
久しぶりに『プリシラ』が見たくなりました。