ソウ2
2006/5/10
Saw 2
2005年,アメリカ,100分
- 監督
- ダーレン・リン・バウズマン
- 脚本
- ダーレン・リン・バウズマン
- リー・ワネル
- 撮影
- デヴィッド・A・アームストロング
- キット・ホイットモア
- 出演
- ドニー・ウォールバーグ
- ショウニー・スミス
- トビン・ベル
- フランキー・G
- グレン・プラマー
- ディナ・メイヤー
- エリック・ナドセン
元は腕利きの刑事だったが今は内勤に甘んじているエリック、彼が連続殺人犯ジグソウを追っている女刑事ケリーに呼び出される。そこでは、エリックの情報屋だったマイケルが殺され、エリックに向けたメッセージが書かれていた…
低予算ながらヒットを記録したスリラー『ソウ』の続編。前作の監督ジェームズ・ワンはプロデュースにまわり、ダーレン・リン・バウズマンに監督させた。
前作も怖かったが、内容はほとんど忘れてしまった。だから、この作品で前作を思い出させるようなトピックが登場しても、今ひとつ思い出せない。まあ、おかげで続編というよりは普通に1本の映画として見れたのはよかったと思うが、『ソウ』という映画は意外と印象に残らない映画だったようだというのが不思議だった。
そしてこの『ソウ2』も意外に普通の映画だ。前作と同じく複数の人間が一ヶ所に監禁されるという設定で、それを外部にいる犯人が操り、これまた外部にいる人間が犯人を追い詰める。この設定は同じである。そして、こういう密室劇にありがちな閉じ込められたもの同士の関係が物語の焦点になって行く。
しかし、そのキャラクターの設定がこの映画は甘い。どうもみんながみんな単純というか、パニックに陥りすぎというか、人のいうことを聞いていないというか、とにかくひどい人間たちなのだ。こういう状況で自分だけが助かりたいと思うのは人の常だが、そこに何らかの葛藤があるからこそおもしろいのであって、単なるエゴのぶつかり合いでは面白みが出てこない。だから観ているほうもだんだんいらいらして来てしまう。
そして、もうひとつの焦点である密室の外側のほうの謎解きも今ひとつピリッとしない。主人公であるエリックの立場に身をおいて見てもわけがわからなくてただただいらいらするだけだ。迫り来る恐怖に対する焦燥感、これがこの映画の全てを支配している。
しかしそれでもやはり画面から目を離すことはできない。この密室に仕掛けられた残忍なトラップとパズルの恐怖は圧倒的だ。いらいらするけれども、どうしても目を離せない。そんな映画なのである。
そして、最後にはあっと驚く仕掛けが用意されている。もちろんこのような謎解きものには常にあっとどろく仕掛けが用意されているものだが、この作品は最後の仕掛けに非常なこだわりがあるように感じられる。というよりはむしろ、作品の全てが結末のためにある伏線に過ぎないとも思えてくるのだ。映画を見終わって振り返ってみれば、その結末に納得が行く。「はぁ~なるほどね~」と観客に言わせること、この映画の目的は本当にそれだけなのだ。
それだからこそこの映画は印象に残らないのだ。そこにあるのは結末だけであり、その過程には意味がない。しかもその結末の意味は映画という謎解きにとって意味があるだけで、それ以上のものではない。
まあ、こういう映画もあっていいのだと思うし、こんななにも残らない映画が見たくなるようなときもあるけれど、普通に観るならば、やはり何かもうひとつくらい観客をひきつける要素がないと、観客の印象にはなかなか残らないだろう。
でも、何とはなしに続編を借りてしまったくらいだから、なんとなくおもしろかったという印象は与える映画なのではないかという気もする。そして、『ソウ3』もすでに製作中だとか。確かにこの終わり方は続編をほのめかしているようにも見えるが…