オーシャンズ12
2007/8/11
Ocean's Twelve
2004年,アメリカ,125分
- 監督
- スティーヴン・ソダーバーグ
- 脚本
- ジョージ・ノルフィ
- 撮影
- クリス・コニアー
- ピーター・アンドリュース
- 音楽
- デヴィッド・ホームズ
- 出演
- ジョージ・クルーニー
- ブラッド・ピット
- ジュリア・ロバーツ
- キャサリン・ゼタ=ジョーンズ
- アンディ・ガルシア
- マット・デイモン
- バーニー・マック
- ヴァンサン・カッセル
- ドン・チードル
ダニー・オーシャンがテスとの2度目の結婚3周年を祝おうとしていた日、オーシャンの家にベネディクトが現れ、3年前に盗んだ1億5000万ドルに利子をつけて返せと迫った。ダニーは仲間たちを集め、その金を返すために必要な金を盗む計画を立てるが…
ソダーバーグと仲間たちが3年ぶりに集まって作った『オーシャンズ11』の続編。サスペンスと言うよりはコメディ映画になったような…
はっきり言って書くことはあまりない。ソダーバーグとジョージ・クルーニー、そしてブラッド・ピット、ジュリア・ロバーツなどなど。映画を撮るために集まったと言うよりは、いつもの仲間がたまには映画でも撮るかという感じで撮った映画という感じだ。
映画の中でも、オーシャンと仲間たちはこんなに仲良し集団だっただろうかと疑問に思う。一応犯罪者なのだし、それぞれが一流の腕を持っているんだから、それぞれにもう少しプライドとかエゴとかを持っていたような気がしたが、今回はただオーシャンの計画に乗っているだけの二流の犯罪者たちに成り下がってしまっているような気がする。しかもそれぞれの得意な技術が生かされることもほとんどない。バーニー・マック演じるフランクにいたっては序盤で逮捕されてしまって出番すらほとんどない。
彼の出番の少なさはおそらくスケジュールの都合で、ほかの出番が少ない仲間も同様だろう。そんな感じでわいわいがやがや映画を撮ったから、いろいろとくだらないアイデアが出てきて、それはそれで面白いのだけれど、サスペンスとは程遠いコメディ作品になったと言う感じがある。特にジュリア・ロバーツ演じるテスが「あの女優に似ている」とマット・デイモン演じるライナスがぶつぶつと言って、それがあとで作戦に利用されるところなどは悪乗りでやってしまった感じだ。
そんな作品だから、その仲間の内輪のノリにうまく乗ることが出来ればやんややんやと楽しめるが、それに乗り遅れるとなんとも気の抜けた作品と言う感じになってしまう。ソダーバーグの狙いもその“ノリ”で作品を作ることにあったのではないかと思う。これは続編であり、同じメンバーで同じような作品を作ってはマンネリ化してしまう。そこで前作よりグレードアップしてよりスリリングな物を作ろうと考えるのが普通だが、ソダーバーグは逆に、前作からグレードダウンして力を抜いた映画を作ったのではないか。その狙いははっきりしないが、彼の映画作りは自分のやりたいことをやるよりは、周りを生かしてうまく力を引き出していくと言うやり方だから、それをこれだけのたくさんのそれも一流の役者でやったらどうなるかと試してみたということなのかもしれない。
その結果は決して大成功とはいえないものだったが、作る側の楽しさというか、明るいムードは伝わってくる作品となった。これで次の作品もスケジュールの許すがきり仲間がみんな集まって作る作品に出来るだろう。ソダーバーグの狙いは仲間の輪を広げると同時に、観客に親近感を沸かせることにあって、作品自体の面白さにはないのかもしれない。
観客を馬鹿にしているといえば、馬鹿にしているのだが、それでもなんとなく「次も見ようかな」という気になってしまう人も多いだろうから、ソダーバーグの戦略は当たっていると言えば当たっているのだろう。