オーシャンズ11
2003/1/19
Ocean's Eleven
2001年,アメリカ,116分
- 監督
- スティーヴン・ソダーバーグ
- 脚本
- テッド・グリフィン
- 撮影
- スティーヴン・ソダーバーグ
- 音楽
- デヴィッド・ホームズ
- 出演
- ジョージ・クルーニー
- ブラッド・ピット
- ジュリア・ロバーツ
- マット・デイモン
- アンディ・ガルシア
- ドン・チードル
- ケイシー・アフレック
- エリオット・グールド
- カール・ライナー
- バーニー・マック
刑務所から出所したダニー・オーシャンは早速カジノに出向き、昔の仲間のフランクと接触する。さらにラス・ベガスへと飛んだ彼はこれまた昔の仲間ラスティにあってカジノの金庫を破るという大きな山を持ちかける。「これは金だけのためではない」と感じたラスティだったが、狙うカジノのオーナーに恨みを持つ別のカジノのオーナーから資金援助を得て、計画はどんどん進んでいった…
ここ数年のヒット作でハリウッドの信用を勝ち取ったソダーバーグが豪華キャストで取り上げたサスペンス。ジョージ・クルーニーは『アウト・オブ・サイト』ジュリア・ロバーツは『エリン・ブロコビッチ』に続く出演となった。
作品は1960年にフランク・シナトラ主演で撮られた『オーシャンと十一人の仲間』(原題は同じ)のリメイク。
『アウト・オブ・サイト』で息を吹き返してからのソダーバーグは役者を生かす監督というイメージが強かった。『アウト・オブ・サイト』のジェニファー・ロペス、『エリン・ブロコビッチ』のジュリア・ロバーツ、『トラフィック』のマイケル・ダグラス。人気絶頂とはいえない役者を使って、その役者を輝かせること、それがソダーバーグの仕事だったはず。その実績がものをいったのか、彼の作品に出たいという役者が多いらしく、このようなオールスターキャストの作品が出来上がったわけだが、この作品に出てくる人気絶頂の役者たちではソダーバーグはその力を発揮できない。ソダーバーグがいなくても彼らは輝き、映画は面白くなってしまう。
結果的に、彼らを輝かせようとするソダーバーグと自ら輝こうとするスターたちは打ち消しあい、全体的に質は高いけれど突き抜けたものがない映画になってしまった。ブラッド・ピットはソダーバーグの映画の中でもブラッド・ピット、マット・デイモンもなんだか影が薄い。この映画で息を吹き返すかと思われたアンディ・ガルシアも今ひとつ。
『トラフィック』からはじめた(というより再開した)、自分でカメラを持つというスタイル(『トラフィック』のときはピーター・アンドリュースという別名)も斬新なものを作るというよりは、自分のスタイルを徹底させるためだけという気がしてしまう。『スキゾポリス』なんかの実験性と比べてみると物足りなさを感じてしまうのは致し方ないところか。
展開はそれなりに面白く、うまくユーモアも絡め、面白くないとはいえないのだけれど、なんとなく意外性にかけ、いろいろなものを詰め込みすぎた感があるという作品。自分のやりたいことと、商売として成功することとの間にズレがあるのか、もう少し我慢してから自分のやりたいことをやろうと思っているのか、ソダーバーグの向う先は今ひとつ見えてこない。
ところで、かなり重要な役で出演しているドン・チードルが実はクレジットされていないのですが、これは実は宣伝用のポスターで自分の名前がアンディ・ガルシアよりも小さく表示されることを聞いたドン・チードルが「それなら、載せなくていい」といったことから始まった騒動らしい(未確認)。それで結果的に映画のクレジットからもはずすということになってしまったということ。