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ベストセラー

乱気流/グランド・コントロール

★★★--

2007/10/2
Ground Control
1998年,アメリカ,97分

監督
リチャード・ハワード
原案
タラート・チャプタン
ロバート・モアランド
脚本
マーク・シェパード
ロバート・モアランド
撮影
ヘナー・ホフマン
音楽
ランディ・ミラー
出演
キーファー・サザーランド
ケリー・マクギリス
ロバート・ショーン・レナード
クリスティン・スワンソン
マイケル・グロス
ブルース・マッギル
preview
 航空管制官のジャック・ハリスは自分が管制していた航空機が事故を起こしたことにショックを受け管制官を辞め、航空管制ゲームの開発に携わっていた。そこに元同僚のTCが訪れ、大晦日の一日だけ応援来てくれと頼む。折れて応援に行ったジャックだったが、事故のフラッシュバックに襲われ、さらに嵐が迫ってきていた…
  キーファー・サザーランド主演の航空パニック映画。B級映画という感じだが、なかなかうまく作られていてそれなりに楽しめる。
review

 航空管制官の映画といわれて思い出すのは、ジョン・キューザックとビリー・ボブ・ソーントンが出ていた『狂っちゃいないぜ』だ。この作品もぎりぎりの精神状態で管制を行う管制官を描いたもので、二つの作品はかなり似ていると思う。この『乱気流』が1998年で、『狂っちゃいないぜ』が1999年だから、航空管制官者が流行だったのだろうか。それ以降はあまり作られたという話を聞かないのは、やはりアクションなんかを挟む余地もなく、物語の展開にそれほどバリエーションを生むこともできない地味さからだろう。
  でも、私は結構こういう精神的なサスペンスというのは好きだ。しかも、航空管制の画面というのは黒くて升目がつけられた円を緑色の点が移動するだけというきわめてシンプルな映像である。このシンプルなところからサスペンスが生まれるというのは想像力を刺激されていい。
  この作品では、出世主義で部下のことを考えないチーフ、とんでもない日に初日を迎えてしまった新人、自信満々の若手、頼もしい修理屋のおっちゃんとさまざまなキャラクターを用意して、航空管制という地味な題材にさまざまなドラマが盛り込まれるように工夫されている。そのどれもがステレオタイプといわれればそうなのだが、ステレオタイプというのはやはりそれなりの魅力があり、その組み合わせによってはそれなりに面白い物語になるのだということをこの映画は示す。展開もオーソドックスで、あった驚くどんでん返し問うようなものはないが、このような予定調和の安心できる展開というのも悪くないなと思った。
  最近のハリウッドのサスペンス大作はといえば、どう観客をだますか、どこで予想もつかない展開を作るかということに終始して、物語や登場人物(主に脇役)に面白みがなくなってしまっていることが多い。そんな手の込んだことをしなくても、お金のかかる凝ったCGを使わなくても、しっかりと作れば有名な役者がほとんど出ていなくてもそれなりに面白いものを作ることはできる。この映画はそのことを証明している。
  それにしても、この映画に出てくるのは管制塔と飛行機の中とあとはせいぜいジャックのアパートくらいのもので、セットにもまったくお金がかかっていないし、キーファー・サザーランド以外ははっきりいって一流といえる役者ではない(キーファー・サザーランドもこの頃はぱっとしていなかったし)。TCを演じたブルース・マッギルは本当にあちこちで見る役者だけれど、ほとんど注目することはなかったが、この作品ではなかなかの存在感を見せている。
  アメリカにはこういう作品が本当にたくさん埋もれている。それをわざわざ探し出そうという気にはならないが、何とはなしに見た作品がちょっと面白いと、少しうれしくなるものだ。そんな作品。

Database参照
作品名順: 
監督順: 
国別・年順: アメリカ60~80年代

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