ウルトラ・ヴァイオレット
2008/2/12
Ultraviolet
2006年,アメリカ,87分
- 監督
- カート・ウィマー
- 脚本
- カート・ウィマー
- 撮影
- アーサー・ウォン
- ジミー・ウォン
- 音楽
- クラウス・バデルト
- 出演
- ミラ・ジョヴォヴィッチ
- キャメロン・ブライト
- ニック・チンランド
- ウィリアム・フィクトナー
兵士の能力増強の研究から生まれたウィルスが超人的な能力を持つ人々“ファージ”を作り出した。政府はファージの一掃を図ったが一部が地下にもぐり抵抗運動を開始、激しい抗争が展開された。ファージ組織の一員であるヴァイオレットは人間が開発したファージ絶滅兵器を盗むべく政府機関に潜入する。
ミラ・ジョヴォヴィッチ主演のSFアクション。アクションはいいが、話がわかりにくく物語りに入り込めない。
この話の設定はウィルスによってファージという“人種”が生まれ、“人間”はそれを根絶しようとし、ファージ側はそれを阻止しようとしているというものなわけだが、その設定自体かなり無理があり、さらに超人的能力を持つとされるファージの能力がいったいどんなものなのかが明らかにされていないので、ファージの存在の恐怖がよくわからない。ヴァイオレットの様子を見ると彼らは単に超人的な力を手に入れただけではなく、寿命も短いようだから、普通に考えたら隔離してどうやったら治療できるかを研究すればいいだけの話しだし、ファージの中にも研究者はいるだろうから、彼ら自身も研究すればいいと思うのだが…
そんな設定だから、話がよく飲み込めず、いったいなぜ彼らは争っているのかもよくわからない。果たして彼らは何を巡って争っているのか。ヴァイオレットは「人間かファージかどちらかが全滅するまで戦いは続く」とか言っているが、ファージは人間を絶滅させたとしても生き残ることはできないのではないのだろうか。
というどうにも無理がある話なところでこの作品は完全に失敗だ。
そんな話の無理さを覆い隠そうとするがごとくこの作品はとにかく人を殺して殺しまくる。ヴァイオレットは超人的な能力で数十人単位でどんどん人を殺していく。ワイヤーたっぷりCGたんまりのアクションでただただ人を殺していくというのがこの作品の肝である。それはまるでゲームのようでその手のゲームが好きな人なら爽快感を感じるのだろう。そしてその大量殺戮のみそは殺される人々の顔が見えないというところだ。殺される人たちのほとんどはヘルメットやら何やらをつけていて人間なんだかロボットなんだかわからないようになっている。だから、ヴァイオレットがばったばったと人を殺しても残虐さは全然無いし、殺される側についてはまったく描かれないわけだ。
この作品の見所ははっきり言ってミラ・ジョヴォヴィッチだけだ。最近はすっかりアクション女優となってしまった彼女が人型をした“モノ”をばったばったとなぎ倒す、そのアクションだけが見所だ。『バイオハザード』シリーズでミラ・ジョヴォヴィッチにほれ込んでしまった人なら、まあ見てもいいと思うが、それ以外の人にはオススメしない。