シティヒート
2008/8/6
City Heat
1984年,アメリカ,98分
- 監督
- リチャード・ベンジャミン
- 原作
- サム・O・ブラウン
- 脚本
- サム・O・ブラウン
- ジョセフ・C・スティンソン
- 撮影
- ニック・マクリーン
- 音楽
- レニ・ニーハウス
- 出演
- クリント・イーストウッド
- バート・レイノルズ
- ジェーン・アレクサンダー
- アイリーン・キャラ
- マデリーン・カーン
30年代のカンザスシティ、私立探偵のマーフィの相棒が大金を持って帰ってくる。その相棒は街を牛耳るギャングの帳簿を勢力を争うギャングに売って金をもうけようとしていたのだが、殺されてしまう。事件に巻き込まれたマーフィは警官時代の相棒で犬猿の中のスピアと事件の解決に乗り出す…
クリント・イーストウッドとバート・レイノルズというスターが競演して昔懐かしいギャング映画の雰囲気を再現した佳作。地味だが悪くない作品。
84年の映画だが、舞台は30年代、作品に雰囲気は60年代か70年代という感じ。昔は仲がよかったが、喧嘩別れしてしまったふたりが再び相棒となって事件を解決するというのはよくある筋立て、それをクリント・イーストウッドとバート・レイノルズにやらせたということで当時は結構な話題になったのかもしれない。
しかし、そんな2大スターの競演作としては非常に地味な仕上がりだ。ハードボイルドなアクションではなくてコメディ色の強い作品に仕上げたというのは意外性を狙ったのだろうが、正統派のアクション映画を期待したファンには拍子抜けだっただろうし、アクションとしてもコメディとしてももうひとつ突き抜けられなかったという印象は否めない。
しかし、クリント・イーストウッドもバート・レイノルズも年齢を重ね、“スター”という印象が薄れた今見るとなかなか悪くない作品だと思える。クリント・イーストウッドのキャラクターは普段はクールなんだけれど、気に触ることがあるといきなり切れるというもの、バート・レイノルズのほうは普段はおどけているけれど、その実は熱いハートを持っている。ふたりともいかにもなキャラクターではあるが、バランスがなかなかいいので、魅力的に見える。
筋立てのほうも、あくまでも予想の範囲内というか、だいたい聞いたことのあるような話だが、最低限のスリルというか展開への興味を引き出すには足るものだ。
キャラクターにしても筋立てにしても、いかにもだというのは一見、陳腐な作品であるように思えるが、このいかにもな感じというのが昔懐かしいギャング映画という雰囲気をかもし出していて「いい」と私は思う。これをもし新作としてみたら、確かにちょっとと思うだろうが、旧作のひとつとしてみる限り、見て損はないと思える。
監督のリチャード・ベンジャミンは俳優から監督に転身、これは監督に転身して間もない作品である。代表作といえるのは『花嫁はエイリアン』、『メイド・イン・アメリカ』といったあたりで基本的にはあまりパットしないコメディ映画の監督だ。
そんな監督がスターを使ってアクション映画を撮ってみたらこんな感じになった。イーストウッドのファンにはあまりお勧めできないが、『リーサル・ウェポン』のようにアクションとコメディが合わさった映画が好きなら、この作品も楽しめるのではないか。
バート・レイノルズはなかなかいい。