ミレニアム2 火と戯れる女
2010/9/8
Flickan Som Lekte Med Elden
2009年,スウェーデン=デンマーク=ドイツ,130分
- 監督
- ダニエル・アルフレッドソン
- 原作
- スティーグ・ラーソン
- 脚本
- ヨナス・フリュクベリ
- 撮影
- ペーテル・モクロシンスキー
- 音楽
- ヤコブ・グロート
- 出演
- ミカエル・ニクヴィスト
- ノオミ・ラパス
- アニカ・ハリン
- ペール・オスカルソン
- ミカエル・スプレイツ
社会派雑誌『ミレニアム』に、少女売春組織についての記事を売り込みに来た記者とその恋人の研究者が何者かに殺される。その凶器となった拳銃は、天才ハッカーのリスベットの後見人のもので、リスベット指紋がついていた。リスベットの無実を信じる『ミレニアム』の主筆ミカエルは真相を解明すべく調査を開始する。
スウェーデンのベストセラーミステリー『ミレニアム』3部作を映画化した第2弾。
© Yellow Bird Millennium Rights AB, Nordisk Film, Sveriges Television AB, Film I Vast 2009
前作でコンビを組み事件を解決することに成功したリスベットとミカエル。リスベットは大金を手に入れ、ミカエルはミレニアム誌に復帰。人嫌いのリスベットは姿をくらまし、ミカエルとも連絡を取らないまま日々が過ぎた。
そんな時、少女売春組織を調査中のミレニアムの記者とその恋人の研究者が殺され、その凶器となった銃にリスベットの指紋が発見される。その真相はリスベットがその銃を使って彼女の後見人を脅し、その銃が殺人事件に使われ、その後見人も殺されたというものだったが、世間はリスベットを犯人と考えて警察もマスコミも彼女を追いかける。ミカエルはリスベットを信じ、独自の捜査で真犯人を探そうとする。
今回も前作に続いてミカエルとリスベットが権力から離れた独自の捜査を行い、その過程でリスベットの過去が徐々に明らかになり、それが物語にも大きな影響を与えていく。
前作同様、スピード感と複雑さが同居したストーリーテリングがやはりよく、そこにリスベットの過去を絡めて行くことで、人間の内面をも描きこんでいく深さを併せ持つ。
前作はミカエルが中心でリスベットはその協力者という形だったが、今回は完全にリスベットが中心で、ミカエルはその背後でリスベットを支援する形になる。ふたりはほとんど連絡を取ることはないがその絆は強く、そしてその絆が物語の大きな鍵になっていく。
単純に面白い。残念なのは前作に比べてリスベットのハッカーとしての特殊能力が発揮される場面が少なくなってしまったことだ。頭脳戦よりも肉弾戦の要素が強くなり、アクション映画よりになってしまっている。もちろんそれはそれでスリリングで面白いわけだが、びっくりするようなことができてしまうリスベットの能力が前作の面白さの大きな要素だっただけに、それがあまり見られないのは残念だ。
しかし、リスベットにはやはり惹きつけられ、見入ってしまう。前作を面白いと思った人は、第2作、第3作と観ても公開することはないだろう。リスベットはさまざまなものに押し付けられ、疎外されて来た。その巨大な力を自力でひとつひとつはがしていくその力強さと反骨精神に魅かれてやまない。
3部作だけに最後は「続く…」的な展開になるが、大団円の第3部への期待はさらに盛り上がる。その意味ではいい“つなぎ”の作品だ。
©Yellow Bird Millennium Rights AB, Nordisk Film, Sveriges Television AB, Film I Vast 2009