隣のリッチマン
2005/7/25
Envy
2004年,アメリカ,99分
- 監督
- バリー・レヴィンソン
- 脚本
- スティーヴ・アダムス
- 撮影
- ティム・モーリス=ジョーンズ
- 音楽
- マーク・マザースボウ
- 出演
- ベン・スティラー
- ジャック・ブラック
- レイチェル・ワイズ
- エイミー・ポーラー
- クリストファー・ウォーケン
向かいに住んで同じ工場に勤める親友のニックとティム、ある日ニックがペットの糞を消すスプレーを開発すると言い出した。ティムは無理だと言って相手にせず、出資も断ってしまったが、その開発が見事に成功し、ニックは大金持ちに…
ベン・スティラーとジャック・ブラックという2人のコメディアンが共演したドタバタコメディ。クリストファー・ウォーケンもいい感じで出演しているのに、なぜか日本未公開。
ベン・スティラーが主演で、変な歌が流れるという点では『メリーに首ったけ』を思い出させる作品だが、『メリーに首ったけ』のような徹底的にくだらない(褒めています一応)ドタバタコメディではない。
もちろん基本はドタバタで、おかしなことばかりが起きるのだけれど、原題が“Envy”となっていることからもわかるように、「嫉妬」というものをテーマとしたどこか教訓話じみた話になっているのだ。おそらく製作にドリームワークスがかんでいるあたりから、徹底的にくだらないPG12がつくようなコメディには出来なかったという事情も透けてみるが、個人的にはもっと徹底的にくだらないほうが面白いのではないかと思った。
なぜなら、ベン・スティラーひとりで下品でくだらないコメディを作ってしまうと、救いようがない作品が出来てしまうこともあるが、この作品ではジャック・ブラックの存在のよってそれが救われるからだ。ジャック・ブラックというのは見た目は下卑た感じで下ネタを連発しそうな感じなのだけれど、彼の笑いにはどこか温かみがあり、いやらしさがない(これもデブの特権か)。だから、もしベン・スティラーが徹底的にいやらしい役をやったとしても、ジャック・ブラックの癒し力でバランスが取れて爆発的に面白くなったかもしれないと思うからだ(もちろん大コケになったかもしれないが)。
とはいえ、これはこれで面白い。ベン・スティラーとジャック・ブラックの微妙な関係は互いの面白さを引き出しているし、クリストファー・ウォーケンが不気味な存在感で物語をかき回す。
言ってしまえば毒にも薬にもならないということだが、このように安心して見られて、それなりに笑えて、観終わった後もいやな感じがしないという作品はやはり貴重なのだ。
やはりベン・スティラーよりもジャック・ブラックかなぁ。『スクール・オブ・ロック』で一気にスターの仲間入りという感じで、これからバンバン出演作が増えるでしょう。あまり感動ものに走ってトム・ハンクスみたいにならず、コメディアンとしてしっかり笑わせる作品に出続けて欲しいものです。