スキと言って!
2007/6/16
Di Que Si
2004年,スペイン,98分
- 監督
- フアン・カルボ
- 脚本
- フアン・カルボ
- 撮影
- ゴンサロ・F・ベリディ
- 音楽
- フェデリコ・フシド
- 出演
- パス・ベガ
- シャンティ・ミラン
- サンティアゴ・セグーラ
- チェス・ランプレアベ
- ぺぺ・ビジュエラ
女優志望のエストレーリャはTVに出演させてあげるというディレクターの口約束にのせられて「スキと言って!」というお見合い番組に出演、相手は母親に無理やり出演させられた映画オタクのマザコン男ビクトルだった。まったく息の会わない二人だったが、そのドタバタが好評となり賞金は跳ね上がる…
“第2のペネロペ・クルス”とも言われるスペイン人女優パス・ベガの魅力が詰まったロマンティック・コメディ。彼女以外に見所はないと言っていいが…
この作品と同年に撮られた『スパングリッシュ』でついにハリウッドデビューしたパス・ベガは『トーク・トゥ・ハー』のチョイ役や『ルシアとSEX』のヌード・シーンで注目を集め、“第2のペネロペ・クルス”とも言われてブレイク必至である。
エロティックで情熱的な部分はいかにもラテン的でありながら、可憐な部分も持っているというのがペネロペ・クルスとダブルし、それこそがラテン女優にハリウッドが求める資質なのだろう。だから、このパス・ベガがハリウッドでブレイクするのは間違いないし、その第一歩としての『スパングリッシュ』は大成功だった(まだ見ていないが…)と思う。
そして、ペネロペ・クルスとダブルのはスペインでは奔放に披露していたヌードをハリウッドへ渡る直前から封印し、エロティックなイメージからコケティッシュなイメージへと緩やかに移行している点だ。これでスターとゴシップがあれば完全に“第2のペネロペ・クルス”である。
ただ、彼女のような外国出身の女優はほとんどがハリウッドでは消耗品で、ペネロペ・クルスも最近はハリウッドでは今ひとつヒット作に恵まれず、今度はスペインに戻って『オール・アバウト・マイ・マザー』以来のアルモドバル作品復帰を果たした。ハリウッドではビッグ・マネーが動くが、やはり役者としてはいい作品にめぐり合うことこそが重要であり、結局はいい作品に出演することで力をつけて行くことこそが本当の成功への道しるべなのだろう。
そのような意味ではこのパス・ベガも『トーク・トゥ・ハー』でアルモドバル作品に出演しているし、ハリウッドで飽きられてもスペインに帰ってくればいいのだ。本当にパス・ベガの魅力だけで持っているこの作品を観ながらそんなことを思った。
そう、この作品は本当にパス・ベガの魅力だけという作品だ。序盤こそは物語の展開にもそれなりのおもしろさがあり、主人公ふたりの関係がどのような展開を見せるのかに好奇心をそそられるわけだが、予想通りの方向に落ち着き始めるとすっかり平凡な物語になって行く。後半に入って無理やりな感じでサスペンス色が加えられていくのだが、この展開がまたどうでもよく、ただ90分という時間に引き伸ばすためだけに無理やりに入れたようにしか思えない。
『スパングリッシュ』でパス・ベガにやられた人はもちろんペネロペ・クルスをはじめとするラテン美女が好きな人も必見。今見ないと数年後にはおそらく忘れられる。