チャップリンの冒険
2007/8/12
The Adventurer
1917年,アメリカ,20分
- 監督
- チャールズ・チャップリン
- 脚本
- チャールズ・チャップリン
- 撮影
- ローランド・トザロー
- 出演
- チャールズ・チャップリン
- エドナ・パーヴィアンス
- エリック・キャンベル
text
脱獄囚チャーリーは囚人服のまま看守と追いかけっこを展開、何とか海に逃げ、ボートの上で着替えている人の服を拝借、海水浴場へと泳ぎ着くと、そこでは若い娘が溺れて。見事その娘とその他ふたりを救い出したチャーリーだったが、意地悪い男に海に突き落とされて自分も溺れてしまう。助け出されたチャーリーは娘の屋敷で目を覚まし、モーニングに階下に降りていくと、そこではパーティが行われていた。
この作品は徹底的なドタバタ喜劇で、特に後半はスピード感もあり、ギャグも盛りだくさんで楽しめる。チャップリンのドタバタで特に面白いのは階段やバルコニーを使った立体的などたばたで、そこに人違いの勘違いが挟み込まれて笑いを誘う。この作品でもバルコニーでアイスクリームを食べていたチャーリーが下にいる女性の背中にそれを落としてしまい、ちょうどそのとき追っ手がやってきてどたばたが始まり、隣にいた男性がアイスクリームのほうの犯人に間違えられるというドタバタが繰り広げられる。
チャップリンはアメリカに来た当時、俳優の個性を奪う追いかけっこは嫌いだと言ったが、これはチャップリンという個性が存分に出た追いかけっこである。同じ追いかけっこでもやる人によってその面白さは変わってくる。この作品をはじめとするチャップリンの追いかけっこと、『セブン・チャンス』を典型とするバスター・キートンの追いかけっこを比べてみれば、その違いは歴然、そしてどちらも面白いのだ。
この作品には人情喜劇という側面は見られないが、純粋にチャップリンのギャグを楽しめるという作品もまたよい。
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