デス・プルーフ in グラインドハウス
2008/4/12
Death Proof
2007年,アメリカ,113分
- 監督
- クエンティン・タランティーノ
- 脚本
- クエンティン・タランティーノ
- 撮影
- クエンティン・タランティーノ
- 出演
- カート・ラッセル
- ロザリオ・ドーソン
- ローズ・マッゴーワン
- シドニー・ターミア・ポワチエ
- ゾーイ・ベル
- クエンティン・タランティーノ
テキサス州のラジオDJジャングル・ジュリアは女の子だけで別荘にいく計画を立て、バーへ繰り出す。しかし、彼女達の乗る車の後をつける不気味な車が。その車の持ち主スタントマン・マイクはジュリアのラジオを聴いていてジュリアの友だちアーリーンに声をかけるが…
クエンティン・タランティーノがロバート・ロドリゲスと競作した2本立てムービー「グラインドハウス」の1本。70年代のB級映画にささげられたオマージュ。
70年代にB級映画ばかりを2本立て、3本立てで上映した映画館“グラインドハウス”、それを現代に復活させようと目論見たタランティーノとロドリゲスが仕掛けた2本立てB級映画「グラインドハウス」。本国アメリカでは2本立て上映となったが、日本では1本ずつ別々に、その時点で彼のアイデアは半分骨抜きになって締まった気もするが、まあ個人的に2本続けてみればいいという気もしないではない。それはともかく、1本の映画として公開されたから1本の映画として評価すると、やはり2分の1本分の映画という感じだった。
特に序盤はジャングル・ジュリアとその友だちの無駄話がだらだらと流れるだけ。まあ、タランティーノの映画自体がそもそも無駄話のようなものだから、いいといえばいいのだがこのだらだら感はさすがにだれる。途中70年代の安っぽさを出すべくフィルムのつなぎで飛ばしたり、フィルムに傷が付いている感じを出したり、映像と音をずらしたりという小細工で気を引くのはさすがという感じだが、だからなんだといわれればそれまで、映画オタク以外の歓心を買うことは出来ないのではないか。
しかし、ちょうど中間くらいの1つ目のクライマックスあたりからB級映画らしい面白さも出てくる。残酷なシーンもあり、うそだろという展開もあり、下らなさに笑ってしまうそんな雰囲気は好きだ。そして、がらりと変わった後半はカーチェイスを中心とするアクションシーンが中心になり、とにかく下らない面白さが全開、前半部分はイントロっぽく30分くらいで留めて90分くらいの作品にまとめたらよかったんじゃないかなどと思ってしまう。
この後半部分で主人公のひとりとなっているゾーイ・ベル(役名も同じ)は『キル・ビル』でユマ・サーマンのスタントをしてタランティーノと知り合ったという。そのスタントシーンはさすがに凄いが、役者としても十分いけるんじゃないかという気がする。
そのゾーイのアクションと女たちのバカ騒ぎ、ラストはめちゃくちゃやってうっかり爆笑、いったいサスペンスなのかアクションなのかコメディなのか、それが良くわからないあたりがやはりB級なのか。70年代のB級映画のオマージュとしてB級を超える作品を作るのならともかく、まんま出来の悪いB級映画を作るってのはどうなんだろう。2本立てで1本分の料金ならいいけど、これで1本分ってのはちょっとね。結局2本立て公開にしたタランティーノが正しかったってことか。アメリカ公開のほうを見たかったなぁ…