素晴らしき日
2005/12/10
One Fine Day
1996年,アメリカ,108分
- 監督
- マイケル・ホフマン
- 脚本
- テレル・セルツァー
- 撮影
- オリヴァー・ステイプルトン
- 音楽
- ジェームズ・ニュートン・ハワード
- 出演
- ミシェル・ファイファー
- ジョージ・クルーニー
- メエ・ホイットマン
- アレックス・D・リンツ
- チャールズ・ダーニング
- アマンダ・ピート
ミュージシャンの夫と別れ、一人で子供育てる建築家のメラニーは大事なプレゼンを控えていた。一方新聞記者のジャックは前妻が再婚し、新婚旅行に行くというので娘を預かることに、ジャックは娘を学校に連れて行ってくれるメラニーに連絡するように前妻に言われていたが、すっかり忘れて二人とも課外授業に遅れてしまう…
ミシェル・ファイファーとジョージ・クルーニー主演のラブ・コメ。まだ「ER」に出演していたジョージ・クルーニーが映画スターへとステップアップして行った時期の作品。
全体的には典型的なラブ・コメである。アメリカの特に都会ではシングル・ペアレントが増えているという事情もあってか、このようなシングル・ペアレントのラブ・コメが90年代頃から数多く作られるようになった。この作品のプロデューサであるリンダ・オブストはメグ・ライアンとトム・ハンクスが主演した『めぐり逢えたら』のプロデューサでもあり、数多くのラブ・コメ作品を製作しているが、『めぐり逢えたら』のトム・ハンクスも確かシングル・ファーザーの役だった(違う映画かなぁ…)。
この映画はまさに、そんな90年代的なラブ・コメの典型というわけで、だから、設定とか展開とかには「そんなバカな~」という展開が次々と登場する。課外授業の船がふたりの子供をおいて目前で出てしまうとかいくらなんでも、こどもがあんな自由気ままに遊びまわるわけがないとか、物語の展開に都合のいいように言いように色々なエピソードが展開していく。これは、ラブ・コメのファンタジー/御伽噺としての特徴である。この映画では最後に『オズの魔法使い』を見るシーンが登場するが、ここで『オズの魔法使い』を見るというのも、この作品の御伽噺性を象徴するようで面白い。
その『オズの魔法使い』にいざなわれるかのように、結末はあまりに予想通りなところに落ち、めでたしめでたしという感じで終わる。ふたりともがシングル・ペアレントということで、もう少しこどものことで色々トラブルとか衝突とかがあるのではないかと予想したのだが、こども達は悪ガキでわがままなわりには親の恋愛には理解が深く、ふたりの関係の障害にはならない。現実的には子供が一番の障害になるのだろうと思うが、その辺りもまたこの映画の御伽噺的な部分なのだろう。
というわけなので、典型的なラブ・コメという評価以外の評価は仕様がないが、ラブ・コメとしてはそれなりに面白い作品だし、なかなかうまくまとまっていると思うので、ラブ・コメが見たいという時に見ると、ぴたりと来るのではないかと思う。そしてまた、ジョージ・クルーニーのまだ初々しい姿を見ることが出来るという売りもある。
96年といえば、ジョージ・クルーニーはまだ「ER」に出演中で、映画に進出しようところであった。同年には『フロム・ダスク・ティル・ドーン』に出演、97年に『ピースメーカー』、98年に『シン・レッド・ライン』『アウト・オブ・サイト』と出演している。この作品は実質的にジョージ・クルーニーの映画デビューの年の作品であり、そんな彼をミシェル・ファイファーという大物と組み合わせることで観客の興味を引こうとしたわけだ。
今となっては大スターの仲間入りをしたジョージ・クルーニーのキャリアの最初の頃作品を見て見たいという人にもいいかもしれない。まあ、ジョージ・クルーニー自身は白髪が増えたくらいで、今もあまり変わっていないが、やはりどこかに初々しさは漂っている。
なので、ラブ・コメ好きとジョージ・クルーニー好きにはお勧めの作品。