1957年,日本,103分
監督:市川崑
脚本:久里子亭
撮影:小林節雄
音楽:芥川也寸志
出演:京マチ子、船越英二、山村聡、菅原謙二、石原慎太郎
文芸誌に自分の汚職記事が載ったと憤慨した猿丸刑事はその出版社に殴りこむ。編集長に詰め寄ると、当のライター北長子はすでにクビになったとだった。クビになった北長子は自殺しようと遺書をしたためるがそこにやってきた隣人の赤羽にしばらくの間行方不明になって、そのルポを書くという提案をされ、そのアイデアを売り込みに出版社に行くことにした。
市川崑らしいスピード感あふれるサスペンス・コメディ。
なんとなく見て安心という感じ。1950年代後半から60年代と口をすっぱくして言っていますが、その昭和30年代的なもののひとつの典型。スピード感とモダンさと途中ではいる脈略にあまり関係のない唄といろいろな要素がそう思わせます。
この映画は京マチ子がいいですね。船越英二はいつもどおりおんなったらしな感じの役でいいですが、京マチ子はこういうアクティヴな役のほうがいいのかもしれません。変装と言えるのかわからないような変な変装もかなりいい。水商売ふうの女はまだしも田舎娘の格好は似合いすぎていて怖いです。眉毛がやけに太くなっているのもいい。眉毛といえば、菅原謙二もある意味相当な変装です。
当時の2500万というのはどれくらいだったのか… それで銀行が買収できてしまうくらいの金額ということは、相当な金額のような気はしますが、本当にそんな額なのかという気もします。そもそも、支店長風情が急に銀行の大株主になったら怪しまれんじゃないの? という疑問もつきません。まあ、そんな細かいことはどうでもよろしい。
京マチ子の話でした。京マチ子は美人なんだか美人じゃないんだかよくわからない女優さんですね。『女の一生』(増村)などでは、どうもその不美人振りが目立つのですが、基本的には『雨月物語』(溝口)や『千羽鶴』(増村)などの魔性の女っぽさというのが基本的なキャラクターなのかもしれません。そもそも若いころには『痴人の愛』(木村恵吾)ではナオミをやっていた。そして『黒蜥蜴』(井上梅次)も忘れられません。若尾文子や山本富士子のように看板美人女優ではないけれど、非常に個性的なところがいいのでしょう。しかも映画の中では美人といわれることが多いのも不思議。
ついでに京マチ子の話を続けましょう。『寅さん』にも出ているらしい。見たことないんですが、マドンナなの? 後は、おととしかな、大河ドラマにでたらしい(これも見ていませんが…)。80年代以降ほとんど映画にも出ていなかったのですが、どうなっているのかしら…
ということで、今日は京マチ子に注目してみました。
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