1973年,日本,97分
監督:藤田敏八
原作:小池一夫、上村一夫
脚本:長田紀夫
撮影:田村正毅
音楽:平尾昌晃
出演:梶芽衣子、赤座美代子、中田喜子、黒沢年男
明治6年、八王子の監獄で鹿島小夜は娘を産み落とす。娘の名は雪、小夜は雪に自分の仇をとり、恨みを晴らして暮れといいながら死んだ。時はたち、大人になった雪は蛇の目傘に仕込んだドスで人を斬る見事な暗殺者になっていた。そして彼女は母の仇を捜し求める…
当時連載されていたコミックの映画化。とにもかくにも全体に徹底されているB級テイストがたまらない。もしかしたら、コメディかも。
見た人には何を言わなくてもわかってもらえる。しかし見た人はあまりいないだろうということでちょっと説明しつつレビューしていきましょう。
最初人が殺される場面の血飛沫の激しさ、そしてその血の色の鮮やか過ぎるところ。これを見て、なんか安っぽいなと思ってしまうのが素直な反応。しかしこの映画、その安っぽさを逆手にとってというか図に乗ってというか、とにかく血飛沫血飛沫血飛沫。とにかく飛び散る血飛沫。大量の血。しかし決して生々しくないのはその血があまりににせものっぽいから。伴蔵の血で染まった海の赤さ。「そんなに赤くならねーだろ、おい!」
いとも簡単に血飛沫が飛び、急所をついてないのに糸も簡単に死んでしまう人たち。一太刀で出血多量にしてしまう雪の剣がすごいのか? そんなはずはないのですが、辻褄を合わせるにはそれくらいしか説明のできないすごさ。そのような映画の作り物じみさ、狙った過剰さ。そこに気づくと、映画の後半はひたすら忍び笑いの時間になります。そしてそのクライマックスは北浜おこの。これは見た人だけが共有できる思い出し笑い。
こういうテイストの映画は日本にはあまりない。全くないわけではないですが、妙に茶化してしまったりして、こんなくそまじめなようでいて目茶目茶おかしいという映画はなかなかないのです。あるとすれば、60年代から70年代の埋もれた映画でしょう。京マチ子主演の『黒蜥蜴』などもかなり爆笑映画でした。最近では『シベ超』『DOA』といったところが、そんな映画の代表でしょう。うわさでは『幻の湖』という名作もあるらしい。そのような「バカ映画」といってしまうと語弊がありますが、そんな映画がはわたしは好き。
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