1999年,日本,114分
監督:原田眞人
原作:高杉良
脚本:高杉良、鈴木智、木下麦太
撮影:阪本善尚
音楽:川崎真弘
出演:役所広司、椎名桔平、仲代達矢、風吹ジュン、若村麻由美
総会屋への不正な利益供与を巡って、大手都銀の朝日中央銀行に検察庁のメスが入ろうとするが、旧態然とした経営陣は危機感を抱かない。それに立ち上がったのは企画部副部長の来たのを中心とした中堅グループだった。
とにかくハードボイルドに銀行というわかりにくい世界をわかりやすくサスペンスにした快作。すごくめまぐるしくカットが割られ、映画にスピード感があるので、小難しい用語が出てきても聞き飛ばして物語に没頭できる。
サスペンスとしてはかなりいい。なんといっても銀行というなかなかサスペンスにはなりにくそうなところをついたのが成功の秘訣でしょう。終わり方はちょっと似非ヒューマニズムみたいで気に入らなかったけどね。やっぱ捨石なんだからみんな死んじゃうくらいの勢いがあったほうが好みとしてはよかったね。でも、会社のために死ぬってのも今さらナンセンスという気もしますが…
それにしてもこの映画、異常にカットが多い。長まわしなんて全然なくて、1分あるカットもあったかどうかぐらいの印象だった。何なんだろう… まあ、でもオフフレームとかでうまくつながりを持ってやっているので、そんなに見苦しくなくてよくて、むしろスピード感が出てよかったのでしょう。
ひとつ気になるのは、たびたび出てきた日比谷公園でオーボエを吹くホームレス。どっかで事件に関わってくるんだろうと思っていたのに、結局最後までなんでもなかった。あれはいったい何? BGMを同録っぽくするための演出? そのわりには音が澄みすぎてたよ。ホームレスが持ってる楽器のわりには。
などということもありますが、まったく期待していなかった割には面白く見られた映画でした。しかし、難点といえば、社会派なのか娯楽映画なのかその辺が中途半端というか、両方のいい点を取っていればいいのだけれど、中途半端でどちらに行くにも思い切りが足りないという気がしてしまうところですね。私は純粋に娯楽映画としてみて成功しましたので、「みんな死んじゃえ」とか適当なことをほざくわけですが、社会派映画としてみてしまうと… どうなんだろ?
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