Death in Granada
1997年,スペイン=アメリカ,114分
監督:マルコス・スリナガ
脚本:マルコス・スリナガ、ホアン・アントニオ・ラモス、ニール・コーエン
撮影:ファン・ルイス=アンシア
音楽:マーク・マッケンジー
出演:アンディ・ガルシア、イーサイ・モラレス、エドワード・ジェームズ・オルモス、ジャンカルロ・ジャンニーニ

 1950年代のプエルトリコ、そこに住む小説家の若者リカルドはスペインのグラナダで生まれ育ち、内戦に際して家族で移住してきたのだった。そして、リカルドはスペインにいた頃、ない戦中に謎の死を遂げた詩人ロルカに一度だけ会って話をしたことがあった。そんな彼は今、スペインの詩人たちについての文章を書いている。そこで彼は、ロルカの死の謎を解明するため父親の反対を押し切ってスペインに向かった。
 いまだフランコ政権下にあるスペインを舞台にすることで、謎の解明という物語にサスペンスの要素を入れ込むことが出来たのがミソ。これがなければ退屈な映画になってしまっていたかもしれない。なかなかよく出来た映画がです。

 終わってみればなんとなくあやふやだったあれもこれも納得がいき、サスペンスとしては非常にうまくまとまっているでしょう。
 しかし、根本的なところで、主人公がなぜそこまでロルカを殺した人が誰かということにこだわるのかがつかめなかった。だから、映画の勢いに乗ってしまえばすごく面白くみれるのだろうけれど、一度そこに引っかかってしまうとなかなか入り込めないのかもしれないとも思いました。
 もうひとつわからなかったのは、出てくる人みんなの「目」。みんながみんなすごくもの言いたげな目をしていて、しかし何も言わない。でも、このわからなさはいいわからなさですね。この「何か言いたいけどいえない目」というのがこの映画のすべてを象徴するものであるということになるのでしょう。そしてほとんどの人は最後まで何も言わない。このあたりがかなり巧妙に計算されている気がしましたね。ちょっと多すぎたかなという気もしましたが、効果を損ねるほど濫用しているわけではないと思うのでよしとしましょう。
 というわけで、この映画は「目」の映画。「目」でいかにものを語るか、言葉だけが物事を語るのではないという、わかりきっているようでなかなか実感出来ないことをなかなかうまく表現した映画だったと思います。

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