Tire die
1960年,アルゼンチン,33分
監督:フェルナンド・ビリ
脚本:フェルナンド・ビリ、フアン・カルロス・カベージョ
撮影:オスカル・コップ、エンリケ・ウルテガ
出演:サンタ・フェの子供達
サンタ・フェの街をグルっと映す空撮で始まり、子供のアップに切り替わる。サンタ・フェのスラムに暮らす子供達は列車を待っている。列車がやってくると彼らは列車の横を走り、“Tire die !”(コインを投げて!)と叫ぶ。
アルゼンチンの監督フェルナンド・ベリが1960年に撮った作品。「シネマ・ノーヴォ」と呼ばれる作品群の一つに数えられる。
レビューを書くほど見れていませんが(いかんせん、スペイン語が聞き取れない)、ドキュメンタリーというにはかなり違和感のある映像の作りではありました。かなり作りこまれているということ。子供達がコインをねだるところでも、子供の側からの視点と列車の側からの視点の両方を混ぜ込みながら映像化している。ドキュメンタリーというよりはドラマ的。フィクションというわけではないけれど、映画として作りこむために相当に意図的に作られた場面という印象です。
しかし、この映画の意義は、スラムの子供達に目を向けたということにあり、それ以上でも以下でもないという感じ。「こんな現実があるんだよ」ということを斬新な映像技法で描いてみた。そんな感じです。ある意味では、ウカマウなんかと通じるところがあるのですが、アルゼンチンとボリビアでは相当事情が違うということもあって、なかなか論評することは難しいようです。
とにかく、かなり貴重な映画であることは確かなので、どこかで見かけたら「おっ」と思って足を止めてみてください。
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