幸せパズル

映画はパーティーの風景で始まる。その準備をいそいそとするマリアが、主人公なのだが、驚いたことにそのパーティはマリアの50歳の誕生日パーティー。彼女は自分の誕生日パーティーの準備を自分でして、お客さんをもてなしていたのだ。

夫や息子はマリアが世話をするのが当然と思っていて、マリアもそのことに特に疑問を持ったりはしていないように見える。そんなマリアが誕生日プレゼントにもらったジグソーパズルに思わずハマってしまい、パズルショップで見かけた「大会のパートナー募集」の広告に応じるのだ。

夫には「時間の無駄」だと言われたので、大会に出ようとしていることは隠し、おばの看病だと嘘をついて、パートナーのロベルトの家に通う日々。マリアはどんどんパズルにはまっていく。と、同時に裕福な独身男性のロベルトのアプローチにも心動かされる。
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物語る私たち

物語る私たち

 サラ・ポーリーの母ダイアンは、元舞台女優でキャスティング・ディレクターをしていた。サラがまだ子供の頃に亡くなった母について話を聞くべく、サラは父親のマイケル、兄マーク、姉ジョアンナ、異父姉のスージー、異父兄のジョンに話を聞く。そこで浮かび上がってきたのは自由奔放で、周囲を明るくする母の姿だったが、友人にも話を聞いていくとそこには秘密めいた一面もあった。サラはその秘密を解きほぐしていく…
サラ・ポーリーが自分の家族の歴史に迫った「ドキュメンタリー」。ドラマのような展開の中で、「事実」と「物語る」いうことの本質が突き詰められていく。

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テイク・ディス・ワルツ

 フリー・ライターのマーゴは取材先で同じく取材に来ていたダニエルと出会う。帰り道でも一緒になった2人は偶然にも家が斜め向かいであることを知る。マーゴは料理本を執筆する夫のルーと仲睦まじく暮らしていたが、ダニエルに惹かれ、二人の間で揺れ動き始める…
サラ・ポーリーの監督第2作。ごく普通の女性たちの微妙な心理を丁寧に描く佳作。大きな事件が起きなくても日常の中にドラマはある、そんなことを感じさせられる。

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ファミリー・ツリー

オアフ島の弁護士マット・キングは妻がボートの事故で意識不明の重体に陥り、10歳の次女スコッティの世話を久しぶりにしながら妻の病院へと通う日々。一方でカウアイ島にある先祖から受け継いだ兄弟な原野を売却しなければいけない事になり、親族との話し合いの必要に迫られていた。さらに、全寮制の学校から呼び戻した長女のアレックスから思いもしない事実を告げられる…

ハワイを舞台に「家族」について考えなければいけない事態に直面した中年男性の心を描くドラマ。監督は『サイドウェイ』のアレクサンダー・ペイン。微細な心の動きを描くのがうまい。

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ヴィック・ムニーズ ごみアートの奇跡

ヴィック・ムニーズ

 ブラジル出身で現在はNYを拠点に活躍する現代アーティストのヴィック・ムニーズ。彼はさまざまな材料を使って絵を描き、それを写真に収めた作品を作ってきた。そのヴィックがリオ・デ・ジャネイロにある世界最大のゴミ処理場に2年間滞在し、作品を作るというプロジェクトを始める。ブラジルでの相棒ファビオとともにゴミ処理場に赴き、そこで働く“カタドール”と呼ばれる人々をモチーフにそこにある「ゴミ」を使って作品を作り始める。
現代アーティストのヴィックがアートを通じてゴミ処理場で働く人々と交流し、彼らを変えていく過程を描いた感動的なドキュメンタリー。監督は「カウントダウンZERO」などのルーシー・ウォーカー。

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ブワカウ

ブワカウ

 マニラ郊外に暮らすレネは初老を迎えたが広い家で愛犬のブワカウと二人暮らし。すでに定年退職した郵便局に通って雑用をし、知人がいなくなるといっては遺言を書き換えて神父に託す。老人ホームの友人を訪ねると「あなた誰?」と言われる日々。実はゲイであるレネは死を待ちながら友人と喧嘩をしたりといがいと忙しい日々を送っていたが…
フィリピンの名優エディ・ガルシア主演のコメディ・ドラマ。アカデミー賞外国語映画賞のフィリピン代表作品に選ばれた。

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60年後…

 ある新聞記者が精神病院に収容されている女性サラに60年前の話を聞きに行く。彼女は2009年に起きた疫病の正体が実は疫病ではなく政府の陰謀であることを知っているという。事件は彼女の元恋人が刑務所から出所してきた日、町外れで不思議な物体が見つかるところから始まる。その物体を発見した男は謎の寄生虫に侵されそれが次々と宿主を変えていく…
B級パニックホラー。監督はB級映画の撮影監督を務めてきたハワード・ウェクスラー。『28日後…』のシリーズとは無関係

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グッド・ハーブ

 コミュニティ・ラジオのDJを勤めるシングルマザーのダリア。伝統的なハーブ研究者である母親に仕事を手伝って欲しいと言われ手伝うようになる。しかし、母におかしな言動が目立つようになり始め、病院に行くとアルツハイマーだと告げられる。ダリアは戸惑いながらも母の世話と仕事の手伝いを続けるが…
認知症にあった母と娘を描いたヒューマンドラマ。あまりハーブという題材が生かされていないような…

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ルイーサ

 ブエノスアイレスに暮らすルイーサは毎日決まった時間に置き、勤務先の墓地にゆき、夫と娘のお墓に花を手向け、勤務が終わると有名な女優クリスタル・ゴンサレスの家で世話係として働く日々を送っていた。しかし、ある大雨の朝、いつも朝起こしてくれるネコのティノが死んでしまい、慌てて会社に行くと墓地でもクビを言い渡され、クリスタルも引っ越すといって暇を出され、窮地に立たされる…
アルゼンチンの地下鉄会社が行った脚本コンクールから生まれたヒューマン・ドラマ。

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BONSAI~盆栽

bonsai

 作家志望の青年フリオはタイピストを探していた小説家のガスムリと会う。不採用が決まる前に恋人のブランカにその話をしてしまい、雇われているふりをするため、自分で小説を書いてそれをガスムリのものだと嘘を付くことに。そして、その題材として8年前のエミリアとの恋を思い出す…
チリの若手監督クリスチャン・ヒメネスの劇場用第2作。若者らしい悩みをしっとりと描く。

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