フォーエバー・フィーバー

Forever Fever
1998年,シンガポール,95分
監督:グレン・ゴーイ
脚本:グレン・ゴーイ
撮影:ブライアン・ブレニー
音楽:ガイ・クロス
出演:エイドリアン・バン、マデリン・タン、アナベル・フランシス

 1970年代のシンガポール、スーパーマーケットで働くホックはブルース・リーとバイクに夢中。毎日遅刻しながらも地道に働き、3000ドルのバイクをいつか買うことを夢見ていた。しかしある日たまたま見に行った映画「フィーバー」に出ていたトラボルタに見せられ、ダンスに夢中になってしまった。
 とにかく何でも詰め込んだB級娯楽映画。この安っぽさがたまらない。

 面白いような面白くないような。しかし、これは面白いのだとしておきましょう。とにかく安く面白く映画を作る。これがすべてといっていい。「サタデー・ナイトフィーバー」と思われる映画に出ているジョン・トラボルタと思われる人がトラボルタにちっとも似ていないことはともかくとして、すべてが安っぽすぎる。そして物語が陳腐すぎる。それでもこの映画を面白くしているのはその安っぽいB級テイストに加えて、とにかくいろいろな要素が詰め込まれていること。
 それはもう、とにかくなんでもかんでも詰め込んでやれという意気込み。そもそもブルース・リーとサタデーナイト・フィーバーを組み合わせようという発想自体無理がある上に、家族の話や恋の話やなにやら詰め込めるものなら何でも詰め込んじまえという感じ。さらに、それだけ詰め込んだにもかかわらず全く複雑にならないプロット。おそろしい…
 安っぽさでいえば、車で当てただけでじてんしゃがばらばらになるとか、殴り合いのシーンで明らかに当たってないとか、そもそも出てくる人みんなの衣装が安っぽすぎるとか、いろいろあります。しかし一番すごいのは舞台装置の少なさ。同じ場所で撮ってばかりいます。おそらく撮影期間も短かったのでしょう。同じ場所のシーンは同じ時に撮ってしまえという発想が感じられます。主人公が3時間かけてパーマをかけ、ディスコに行った次の日にスーパーに働きに出るときにはすっかりと髪型が戻っていたりもします。怪奇現象だ… こういう単純なミス(おそらくスクリプトのミス)が起こってしまうのが本当のB級映画なのです。狙って作ったB級映画は実際はちゃんと作っているのでこういうミスはあまりありません。だからこの映画は真正のB級映画ということです。すごい!