The Music of Chance 
1993年,アメリカ,103分
監督:フィリップ・ハース
原作:ポール・オースター
脚本:フィリップ・ハース
撮影:バーナード・ジッターマン
音楽:フィリップ・ジョンストン
出演:ジェームズ・スペイダー、マンディ・パンティンキン、ジョエル・グレイ、チャールズ・ダーニン、M・エメット・ウォルシュ

 ポール・オースター原作の小説の映画化。道端で拾ったギャンブラー・ジャックに自らの金を託し、大金持ちとポーカー勝負に向かうジム。カフカ的ともいえる不思議な世界を描いた映画。シカゴ・ホープで人気俳優となるマンディ・パンティンキンが好演している。
 原作を読んでしまっていると、つまらなく感じるが、純粋に映画としてみるならば、それほどつまらない作品ではない。原作の深みが2時間という時間の中で表現し切れなかったのが残念。

 この監督がオースターの作品が好きだということはよくわかる。しかし、あまりに原作に忠実すぎるのではないか。小説を映画化するときには常に付きまとう問題は、その監督の切り口と自分(見る側)の切り口の食い違いだが、この作品はそれ以前の問題だ。この監督の切り口が気に入らないというのではなく、主張というものが感じられないということ。原作を忠実に再現し、それなりに面白い作品には仕上がっているが、映画としてはあまり評価できない。たとえ、違和感を感じる人がいるとしても、自分なりの解釈でもって、ばっさりと原作を切り取ってくれたほうが、潔く、面白いものになったのではないかと感じてしまう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です