Butterflies are Free
1972年,アメリカ,109分
監督:ミルトン・カトセラス
脚本:レナード・ガーシュ
撮影:チャールズ・B・ラング・Jr
音楽:ボブ・アルシヴァー
出演:ゴールディ・ホーン、エドワード・アルバート、アイリーン・ヘッカート、ボブ・アルシヴァー
当時若手人気コメディエンヌだったゴールディ・ホーン主演のヒューマン・ラブ・コメディ。しかし、コメディの要素は少なめ。
ジル(ゴールディ・ホーン)は、アパートの隣の部屋の男がいつも窓から覗いているのが気になって仕方ない。そんなある日、隣の部屋から母親と電話で言い争う男の声が。ジルがそれに対抗してラジオを大音量でかけていると、隣の男ドン(エドワード・アルバート)が文句をいってきた。そこからふたりは親しくなるのだが…
種明かしをしたくないので、ポイントは黙っておきますが、かなり良質なヒューマンドラマ。ひとつの要素で、ただのラブコメとは違う味わい深いドラマに仕上げることができた。画もなかなかよくて、ときどきはっとさせられるカットがある。と思っていたら、アカデミー撮影賞にノミネートされていたということらしい。ちなみに、ドンの母親役のアイリーン・ヘッカートがアカデミー助演女優賞を受賞している。意外と名作。
カットで特に気に入ったのは、どの変化は忘れたけれど、ドンが洗面所の(ステンドグラスの)ドアに寄りかかって、髪が顔にかかって表情の見えない顔を、ベット越しに抜くところ。なんだかドキッとする緊張感があってよかった。
ストーリーで言えば、身障者にとっての世界観というものと健常者の身障者に対する心理というのはよくあるテーマだけれど、これが1972年の作品ということを考えると、かなり思い切ったもので、かつうまくまとまったものであるといえるのかもしれない。エドワード・アルバートの演技もかなりよかったと思う。
なんをいえば、もう少し笑えるところがあるとよかったかもしれない。別にゴールディ・ホーンがシリアスドラマに出たっていいんだけど、この映画の体裁を見ると、一応(ヒューマン)コメディとして作られているようなので、もう少ししっかり笑える場面があるとコメディ好きとしてはうれしかったというところ。
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